したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

避難用作品投下スレ2

479彼にとっての復讐の意義と、彼女にとっての懺悔の対象:2007/06/02(土) 01:26:36 ID:KiKzaUIw0
「理由くらい、聞いても……いい、よな」
「お前が僕の邪魔をしたからだ」
「……邪魔?」

祐一の浮かべる不思議そうな表情、それは先ほど勝平自身が手にかけた藤林杏の様子を彷彿させた。
口の中に苦い味が広がっていく、しかし勝平はそれを無視して言葉を続ける。
祐一によって計画が崩れたこと、そして自分自身が命を落としたということ。
『あの世界』の、こと。

ただ、どんなに詳しく語ろうにも、祐一の顔に納得の色が浮かび上がることはなかった。
むしろ勝平が何か発する度に、ますます視線は疑惑を帯びたものになっていく。
……これでは、杏の時と同じだった。
あの時は激情に任せてトリガーを引いた勝平だが、同じことをしてあの苦い思いを繰り返すほど馬鹿じゃない。
あくまでも冷静に、勝平はこの根本的な世界のことすらも細かく彼に説明した。
少しでも祐一の中で、何か変化が現れないかと。勝平は、それに望みを賭けた。

そして全てを話し終えた勝平は、少し乱れた息を整えながらも祐一の出方を待った。
自分の知りえることは話しきった、これで分かってもらえないのなら……その先を勝平は考えようとしなかった。
じっと黙って祐一を見つめ続ける勝平、しかし祐一が視線を合わせてくることはない。
……何か言葉を選んでいるのだろうか、しかめっ面のまま祐一はついに唇をゆっくりと開く。

「悪い、けど……お前の話は……どう、聞いてもさっぱり、だ……」

答え。祐一の出したそれに、勝平は静かに目を閉じる。
怒りは沸かない、勝平の中を漂うのは行き所のない不快感のみだった。
はぁ、と一つ溜め息をつき勝平は項垂れる。
このまま祐一を殺すことは簡単であった、だがそれでは意味がない。
勝平の復讐の対象はあくまで『勝平の邪魔をした屑共』であり、その屑の犯した事柄に対し後悔させなければ何の気休めにもならないのだ。
しかしそんな勝平の心中を知らずか、祐一は意外な言葉を続けてきた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板