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避難用作品投下スレ2

405A Tair:2007/05/27(日) 12:15:35 ID:BFLsCE7Q0
だが身体に伝わる七海の暖かさが、浩平に最後の闘志を与えてくれた。
指先に伝わる硬い感触が、最後の目標を与えてくれた。
浩平は最早動かぬ骸と化してしまった少女に目をやった。
(七海……お前、本当に優しい奴だったよな。守ってやれなくてごめんな。でも――)
残された全生命力を振り絞って、手元に落ちている七海の銃――S&W M60を拾い上げる。

(お前が来てくれた事、絶対無駄にはしねえ――――!!)
上半身を起こし、近付いてくる足音の方へと振り向くと同時に、引き金を思い切り絞る。

鳴り響く銃声を認識した時にはもう、浩平の身体は再び地面に吸い込まれていく所だった。
湿った土の感触を頬で感じ取りながら、思う。
(は……は……もう動けねえや…………。最後の一発……当たったかな…………)
秋子の姿を視認している余力すら、残されてはいなかった。
全生命力を振り絞って尚、先の動作で限界だったのだ。
(長森……高槻のオッサン……お前らはまだまだ頑張ってくれよな。悪いけど俺と七海は少し疲れたから……もう休ませて貰うよ……)
瑞佳は無事に生き延びれるだろうか? 秋子の話――今となっては本当かどうか分からないが、危険な男と一緒に行動しているようだし心配だ。
高槻は無事に生き延びれるだろうか? きっと大丈夫、高槻なら自分の代わりに、主催者に怒りの制裁を加えてくれる筈だ。
そして最後に思ったのは――
(長森や七瀬とまた一緒に学校に行って、馬鹿騒ぎしたかったな……)

そして、折原浩平は死を迎えた。
浩平に覆い被さっている七海の目から、一滴の涙が零れ落ちていた。


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