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避難用作品投下スレ2
388
:
発見
:2007/05/27(日) 06:20:24 ID:vu/SoZJw0
「えーと……」
ちらっとイルファに目をやる真琴。
しかし助け舟は現れない、イルファはじっと浩平を見つめていてどうやら真琴の視線には気づいていないようだった。
「さ、沢渡さん、私が行きましょうか」
「あう……ありがと、ささら……」
結局は板ばさみにすらなれず、どうすればいいのかと戸惑っている真琴に手を差し伸べたのはささらだった。
そろそろと部屋を後にする二人、残されたのは浩平とイルファがどうなるか……真琴は後ろ髪を引かれる思いで扉を閉める。
軋む襖の閉じる音と、イルファが溜息をついたのはほぼ同時だった。
「……何だよ」
イルファのアクションに対し、浩平は過敏とも思えるくらいの反応を見せる。
部屋のムードは険悪になる一方であるが、浩平がそれを改善させようとする素振というのは全くなかった。
反論はできなくとも態度でイルファに対し牽制する浩平のやり方は、傍から見れば子供染みたものかもしれないだろう。
しかしそれが、浩平にとっての精一杯だった。
しばしまた訪れる無言の時、壁にかけられた年代物の時計の奏でる針の音が場を満たす。
「申し訳、ありませんでした」
口を開いたのはイルファだった。
腕を組んだまま睨みつけている浩平の目の前で、イルファは小さく会釈する。
……だがその声には特に抑揚の類が含まれておらず、それは浩平の中での懐疑心を増す一方となる。
浩平は無言のまま、イルファの出方を窺い続けた。
下げていた頭を戻すその仕草一つ一つも見落とそうとせず、じっと浩平は彼女を見つめた。
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