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避難用作品投下スレ2

356親友:2007/05/23(水) 21:24:35 ID:7JyTghbE0
自分は未来永劫、渚と支え合っていくつもりだった。
自分の体が呼吸するのも、心臓を動かすのも、全ては渚と共に生きてゆく為だ。
だからもう、これから取るべき道は一つしか残されていない。
自分の半身を取り戻せる可能性の前には、友情も、倫理観も、取るに足らない物だ。
「謝る必要はねえよ。だってお前達は……」
朋也は鞄の中に仕舞っていた物を握り締めた後、おもむろに腕を振り上げた。
「――此処で死ぬんだからな」



「え……?」
杏は目の前で起こっている事態が信じられず、酷く場違いな間の抜けた声を洩らした。
それも当然だろう――友人である筈の朋也が、突然トカレフ(TT30)の銃口を向けてきたのだから。
「岡崎……お前、復讐するつもりなのか? 僕達を許せないから殺すって事なのか?」
聞こえてきた声に視線を移すと、陽平が呆然としているような、泣いているような、半端な表情を浮かべていた。
恐らくは自分もまた、同じような顔をしてしまっているのだろう。
確かに朋也が怒るとは思っていたし、一発や二発殴られる覚悟はしていた。
しかしまさかあの朋也が怒りに任せて自分達を殺そうとするとは、予想だにしていなかった。
狂気に取り憑かれていた勝平と同じように、朋也もまた狂ってしまったのだろうか。

だが朋也はゆっくりと首を振り、冷静に、静かに、言った。
「別にそんなつもりじゃねえよ。お前達はお前達なりに、渚を助けようとしてくれたんだろ?
 だったら俺は、お前達を責めたりしない。ただ、俺は」
そこで乾いた銃声が、響き渡った。

「――優勝して、渚を取り戻さなきゃいけないだけだ」


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