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避難用作品投下スレ2

290広がる狂気:2007/05/15(火) 01:11:20 ID:aqb/.k2.0
それは、環にとって今までで一番大きく聞こえたものかもしれない。
それと同時に体から一瞬で力が抜けていく、再び床の固い感触が上半身に響くが環はそれを自覚できなかった。
肩の、わき腹の痛みなんて目じゃない。悲鳴を上げた痛覚だけが自分が存在している証とも思えるくらい、意識が希薄になっていく。

「タマ姉えぇぇーー!!!」

ふと、大好きなあの子の声が聞こえたような錯覚を環は受けた。
どこか遠くで聞こえるそれを感じると共に、環は意識を手放すのだった。





崩れゆく体は、まるでスローモーションだった。
再び訪れた職員室、その手前でささらという日常の中の知人に出会えた喜びが膨れ上がったのも束の間。
それは貴明が、ちょうど教室を覗き込んだタイミングだった。大切な、大切な彼女の鮮血が一帯に舞っていく

「タマ姉えぇぇーー!!!」

何かを考えるよりも速く、口が動いていた。
悲鳴。撃たれた肩の痛みなど吹っ飛んでいた、駆け出そうとするが片腕を捕られ前に進めなくなる。

「落ち着いてっ、下手したらあんたも撃たれるわよ?!」

だが、落ち着いてなんていられなかった。
こうしている間にも環の着用していたピンクのセーラーはどんどん赤く染まっていく、そんな様子を見るだけなんて耐えられない。
そんな中、けたけたと笑い続ける男の声が耳障りだった。
とても愉快そうに、楽しそうに。男は笑っていた。
芽衣ちゃんやったぞ、君の敵はとったぞ。そんな台詞が貴明の耳を右から左へと通り抜けていく。
瞬間貴明の中を走り抜けたのは、限界を通り越した怒りと彼女を助けられなかった自分に対する情けなさだった。
ほら、こうしている今も。少女に腕を掴まれただけで、進行を止めている。
そんな自分が、非常に嫌になった。


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