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避難用作品投下スレ

400Crisis:2007/02/10(土) 00:25:40 ID:kPVWjO32
目前の敵を睨みつけ、猛然とワルサーP5を引き抜いたのは、国崎往人と呼ばれる男である。
銀色の髪はこの戦場においてなお美しく、身に纏った黒い服との対比がそれを一層際立たせていた。
もう躊躇は無い。今の彼にあるのは、目の前の敵を、来栖川綾香を屠る意思だけである。
往人の明確な殺意を受けて、綾香がにやりと笑った。まるで、この場の緊張感すらも楽しんでいるかのように。
「何度も言う気はないから、一度だけ忠告してあげる。今の私の標的はまーりゃんと環であって、あんたじゃない。
邪魔をしないって言うんなら、見逃してやっても良いけど?」
それは明らかに、最後通牒だった。これを断れば、綾香の手にしたマシンガンが、容赦無く往人にも牙を剥くだろう。
だが――守るべき仲間の存在、それに地に倒れ伏せているあかりの無念。危険を顧みてなどいられない。
「断る。俺は仲間を撃った敵を――お前を、許すつもりはない」
往人は綾香を見据えたまま、断言した。腕を上げ、ワルサーP5の銃口を綾香へと突きつける。
応えて、綾香はマシンガンを深く構え直した。
「――そう。ならあんたも殺してあげる。その反吐が出るお仲間意識も……全部!粉々に砕いてやる!」
それまでの冷静だった態度から一変し、綾香は感情を剥きだしにして、叫んだ。

――それが戦闘開始の合図となった。
往人が横へ跳ねた直後には、それまで往人がいた場所を銃弾が貫いていた。
相手の武器がただの拳銃なら、これで難は逃れた事になるのだが――生憎、今往人を狙っているのはマシンガンだ。
弾丸の群れが、往人が動いた軌跡を辿って迫ってくる。その攻撃から逃れるには、相手の連射を遮るしかない。
往人は綾香に向けて、ワルサーP5の引き金を引いた。
しかし往人が銃を扱うのは今回が初めてだ。移動しながらでは、狙い通りの場所を撃ち抜く事は叶わない。
綾香は掃射を再開し、連続した銃弾が往人を捉えそうになる。
「やらせないっ!」
声が聞こえるとほぼ同時に綾香がさっと身を引き、遅れて別の銃声が聞こえた。
綾香のすぐ目の前で、地面に生えた雑草が千切れ飛ぶ。往人が視線を移すと、環が綾香にレミントンの銃口を向けて、立っていた。
往人が銃を構え直すより早く、綾香が環を射抜こうとし――またも、綾香は後ろに跳躍した。
「甘いぞぅ、あやりゃん。あたしの目が黒いうちは、たまちゃんには指一本触れさせないよっ!」
麻亜子が、これまでの時間で矢を装填したのであろう、ボーガンを構えている。
唸りを上げる矢が放たれたが、それは綾香を損傷せしめる事が出来ず、ただ空気を裂くに留まった。


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