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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】
72
:
煌月の鎮魂歌5 6/22
:2015/07/19(日) 09:51:01
「ご苦労でした」
たるんだ喉から出る声は木の葉のこすれる音に似ていた。
「お前たちは下がりなさい。わたくしはこちらのお屋敷の家政婦を任せられており
ます、ボウルガードと申します。皆様がお待ちです、ユリウス・ベルモンド様。
どうぞこちらへ」
「へっ、そいつはどうも」
ユリウスは老女の鼻先でボウタイを振り回してみせたが、灰色の睫にとりかこまれ
た目はまばたきひとつしなかった。ぴんとした身体はきしみ一つあげずになめらかに
回り、ひそやかに扉を叩いた。
「皆様。ユリウス・ベルモンド様がご到着です」
「中へ」
誰のものともわからないくぐもった声が返った。老女はすべるように動いて扉を
開いて横に回り、頭を下げた。頭を下げてもまだ鋼鉄のガーゴイルのような存在感を
発する彼女をあえて無視して、ユリウスはゆっくりと扉の中に踏みいった。
息苦しいほどの沈黙があり、それから、小さな生き物が騒ぎ出すように声を殺した
囁きとうめき声が四方からわきあがってきた。
ユリウスは裸の胸にあたるシャツの襟をはじいて、歯を全部むいた最高に愛想のいい
笑みを見せてやった。ブロンクスではこれを見た人間で震え上がらない者はなかった
し、ほとんどの者は生き残りもしなかった。
「よう、ご一党」
機嫌よくユリウスは言ってやった。
「はるばる来たってのにご挨拶もなしかい? 拍手の一つでもして迎えてくれても
いいんじゃないのかね」
「アルカード!」
年老いた震え声が憤然と叫んだ。
「これが本当にミカエルの落とし胤なのか? 間違いなく?」
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