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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

244 煌月の鎮魂歌10 35/43 :2017/08/12(土) 23:04:17
 言葉を切って、ユリウスは、生涯にたった一度の言葉を自分に許した。
「──お前のために、俺は、生まれてこなきゃよかったよな。弟」
 聖鞭は稲妻の弧を描いてとび、後退した闇の鞭を追撃した。裂かれた暗黒の鞭は身もだ
えして逃げ惑ったが、自らを冒涜する存在を聖鞭は許さなかった。黄金が剥げ、宝石が墜
ちた。ひび割れた革はこぼれて腐汁となって流れた。使い手もまた縦横無尽の傷を刻ま
れ、悲鳴をあげて倒れ伏した。投げ出された鞭が断末魔の咆哮をあげ、黒い塵となって四
散した。


 離れたところでもうひと組の戦いの舞踏が繰り広げられていた。ベスティア女侯爵を相
手取って、アルカードは複雑な剣閃のステップに足を踏み入れていた。妖女の長い髪は逆
立って千ものかぎ爪に変わり、銀髪の公子をあらゆる方向から取り囲んで引き裂こうとす
る。それを正確無比な攻撃で払い落としながら、アルカードの顔は小揺るぎもしなかっ
た。彼はどこか遠い視線で冷静に戦いの帰趨を見つめ、光と闇の鞭を戦わせているユリウ
スとラファエルの異母兄弟に目をやっていた。
『昔を思いだしますわ、若君』ベスティア女侯爵はささやいた。
『妹とともに参りました宮廷で、ごいっしょにこうしてダンスをいたしましたわね。覚え
ていらっしゃいますかしら。あなた様はとても幼くていらして、父君の膝の上からよちよ
ち降りてきて、わたくしどもの輪にお入りになりましたわ』
「あの時お前は美しかった。ムタルマ女伯爵も。父も。母も。すべてのものが」
 腹に食らいつこうとした巨大な鰐の首がパクッと音をたてて空を咬む。突き出た口吻は
一瞬にして輪切りになり、ばらばらと墜ちた千と見るに、それらはたちまちいやらしい針
を逆立てたやまあらしめいた生き物に変わり、いっせいにアルカードにとりつこうとす
る。軽くマントを払うと、ぱっと散った火花が小怪物どもを焼き尽くした。


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