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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

242 煌月の鎮魂歌10 33/43 :2017/08/12(土) 23:03:03
 おそらくラファエルは、そんなことも知らずに育ったのだろう。ベルモンドの末裔とし
て、聖鞭の所持者としての人生しか用意されず、またその人生しか自分にはないのだと教
え込まれて育った。愛情と言えるようなものはほとんどアルカードに対するものしか知ら
ず、すべてを失ったあと、そのアルカードすら見も知らぬ粗暴な異母兄に奪われたと感じ
た少年の絶望とは、いったいどれほど深いものだったのだろう。
 敵であるはずの闇のささやきに心を奪われるほどの苦悩を、彼にもたらしたのは確かに
ユリウス自身だった。ラファエルがもっと強靱であるべきだったということはできる。だ
が一度は孤独の中で、抱いてくれるものもなく泣いたことのあるものが、泣き方すら教わ
らず育ったものにむけてそのようなことを言えはしない。強靱であることを求められつづ
けたあげくに、弱さを自分自身にすら認めることができなくなってしまったのだ。
 かつて、ユリウスは弱い自分を嫌悪し、生きるために戦った。ラファエルは強者として
生き続け、それ以外の生を想像することがついにできなかった。哀れな子供とは、いった
いどちらのことなのだろう。
「なぜそんな顔をする?」
 ラファエルが叫んで、空中から強烈な一撃を繰り出した。ヴァンパイア・キラーは下か
ら跳ね上がり、暗黒の鞭に交差して、ユリウスの頭を割ろうとしたその軌道を変えた。
「そんな目で僕を見るな! 雑種のくせに! 雑種! 野良犬め! 父上にも見捨てられ
た、汚い捨て子のくせに!」
 そうだな、と声に出さずにユリウスは応えた。俺は捨て子で、私生児だ。お前からすり
ゃ雑種だし、街角で、ごみをあさって育ってきた、人殺しの犬だ。
 だけど俺は雑種の俺を知ってる。自分がごみあさりの野良犬で、どうしようもないごろ
つきだってこともわかってる。それが俺で、俺はこれまでそうやって生きてきて、ここに
いる。強さと純粋さしか知らないおまえが見たことのない、弱さと汚辱の底の底を、俺は
歩いてここへ来た。


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