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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

238 煌月の鎮魂歌10 29/43 :2017/08/12(土) 23:00:31
 途中から声はしわがれたボウルガード夫人のものになっていた。腫物じみた老女の顔が
ぶつぶつと口を動かすのに合わせて、毒のしたたるいまわしい呪詛が低く紡がれていく。
「いつから夫人に憑いていた。どうやって彼女をたぶらかしたのだ」
『たぶらかしてなどおりません。この女は自ら私を呼んだのですわ。その魂に育てた闇と
憎しみとで。お気づきにならなかったのは、若君、あなた様でいらっしゃいます』
 またなめらかな声に戻って、妖女ベスティア女侯爵はいとおしげにボウルガード夫人の
顔をさすった。それからからふいに爪をのばし、老女の顔の白い目玉に深々と突き刺し、
えぐった。か細い悲鳴があがり、ユリウスはぎょっとして鞭を取り直した。
「やめろ、化け物!」
『おや、いっぱしの口をきくのだね。ベルモンドとは名ばかりの雑種風情が』
 女侯爵は冷然たる目をユリウスに向けた。あげた爪から古い油のようなどす黒い血と漿
液がしたたった。
『お前こそがこの悲劇を招いたのに、よくもまあそんなことが言えたこと。お前と、お前
の母の存在が、この子とこの女を狂わせたというのに。この子の呪いを聞かなかったのか
え? わが宿りとなった哀れな女の叫びは? いまいましい聖鞭を手にしたからといっ
て、思い上がらぬがいい。お前の存在は、血を分けた弟の魂を踏みにじった上に成り立っ
ているのだよ』
「耳を貸すな、ユリウス」
 アルカードがささやいた。ユリウスは頷き、一歩前に出た。鞭を持つ腕が熱湯に浸けた
ようにちりちりと熱い。ラファエルはほがらかな笑みを顔に貼りつけたまま、妖女の腕の
中に身を預けている。
「ボウルガード夫人、どうしてアルカードはこっちに来ないの?」がんぜない幼児のよう
な舌足らずの口調でラファエルは尋ねた。


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