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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

237 煌月の鎮魂歌10 28/43 :2017/08/12(土) 22:59:44
 ──許すものか。
 ボウルガード夫人の面は小さな口を開いて呟いた。唇がめくれて歯が見え、小さな瞼の
下で悪意に満ちた目が白くきらめいた。
 ──許すものか。ベルモンドの長はミカエル様の正統でなければ。どこの馬の骨ともし
れぬ雑種が。許さない。許さない。わたしではない誰かの子が、ミカエル様のあとを継ぐ
など。許さない。許すものか……
『この女は先代のベルモンドにたいそう恋着していたそうな』
 猫撫で声で妖女は言った。
『正式に結ばれた妻ならまだあきらめもつく。だが、そうではない女の息子など、許さな
い。自分ではない女が、妻でもないのに、愛しい男の情を受けたなどと、認めない。自分
こそがそうなるべきだった地位を、横から奪い去った女の子供など、けっして、けっして
許しはしない……』
 妖女は白い手を口にあてて狂笑を放った。ユリウスはただ茫然として、声もなく口を動
かしているボウルガード夫人の、憎悪と嫉妬にゆがんだ肉の面を見つめていた。
『哀れな女。恋しい男を思いきるために結婚して外国に渡ったというのに、夫は戦災で死
に、出てきた家に再び舞い戻ることになってしまった』
 いつくしむように妖女は老女の顔の輪郭をたどった。
『けれども男の息子の養育をゆだねられ、妻ではなくとも子を育てることはできると、そ
れだけは心をこめて養育してきた。なのに、その子は体の自由を失い、いてはならない私
生児が呼び寄せられて、その子の場所に座ろうとする。自分があきらめた男の愛を手に入
れて、子まで生むことを許された女。自分が育てた子の権利を奪い取ってのさばろうとす
る雑種。どうして許せるものか。許せるはずがない。みな死んでしまうがいい。わたしで
はなくほかの女を、ほかの愛を選んだ男の息子も。みなことごとく闇に沈め。世界も、人
も、砕けて消えてしまうがいい』


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