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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

231 煌月の鎮魂歌10 22/43 :2017/08/12(土) 22:55:54
「ラファエル」
 突然、イリーナが言った。三人の青年はぎょっとしたように少女を振り返った。
「何か見えるのですか、イリーナ」
「大きな闇。強力な暗黒の力。どんどん大きくなってる」
 そう呟くと、イリーナは震えはじめた。見開いた両目にみるみる涙がふくれあがる。両
手で口をおおって、震えながら少女はしゃくりあげた。
「ああ、駄目、駄目よ、ラファエル、その手をとっては駄目。でももうあの子に声は届か
ない。誰の声も聞こえない。あの子は行ってしまったわ、闇の奥へ、魂の深淵に潜む夜の
領域へ。誰かあの子を止めて、あの子は、もっとも忌まわしいものとして、自ら生んだ暗
黒の淵に沈もうとしている。彼を救ってあげて」
 崇光が鋭く息を吸った。飛びつかんばかりに壁に手を伸ばした彼を、「待て」とアル
カードが制止した。
「開けるな。聞け」
 崇光はまばたき、頭をもたげて耳をすませるしぐさをした。イリーナは震えてしゃくり
あげている。ユリウスはわれ知らず少女の肩に手を回し、そばに引き寄せていた。自然に
鞭に手が伸びる。ヴァンパイア・キラー。吸血鬼殺しの鞭、闇のものを払う聖なる武器
は、まるで狩猟の予感にわななく猟犬のように感じられた。
「近くにいる。接近している」自然に言葉が漏れた。アルカードがちらりとこちらに視線
を投げた。
「なんということだ」崇光が吐息のように呟いた。
 壁のむこうで重いものの倒れる音が連続した。古くなった果物の潰れる音、あるいは水
を詰めた袋が破裂する音。そうした胸の悪くなる音のあいまに、さらさらという衣擦れの
ような音が混じる。舌なめずりと小さな足音、忍び笑い、そして風を切るなにか細いもの
のたてる音──


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