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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

230 煌月の鎮魂歌10 21/43 :2017/08/12(土) 22:55:20
 俺はあいつに会った、という言葉が喉まであがってきた。だが唇を開いたとき、声にな
ったのは別のことだった。
「俺は聖鞭の所持者になった」ユリウスは言った。「満足か?」
 アルカードの肩がふるえた。視線をそらしたまま彼は手をあげ、胸元をさぐるような仕
草をした。そこに何もないことに気づき、はっとしてやめる。ユリウスはふたたびめまい
を感じた。あの男が触れていた銀色の細い指輪が浮かんだ。月の色の金属、まるで目の前
の者の髪をとって編んだかのような。
 わけのわからない苛立ちが押し寄せ、ユリウスはブーツを鳴らして背を向けた。崇光は
音をたてずに函をしまい、儀式の道具をもとに戻している。イリーナはなにかしゃべりな
がら後についてきた。ほとんど注意を払わず、ユリウスは扉があったと記憶しているあた
りに歩み寄り、手を伸ばした。記憶と感情が再び平静をとりもどすまで、誰にも会わず、
夢も見ずに眠ってしまいたかった。
 ほとんど継ぎ目の見えない壁面にユリウスが触れようとしたとき、壁の向こうがわか
ら、あわただしい気配が伝わってきた。一歩下がって、すでに肉体の一部となった聖鞭の
柄に手を触れる。イリーナが急に頭をあげ、鼻をつきだして空気をかいだ。魔女の瞳が緑
色に爛々と燃えだした。
『非常事態……大変です……害──……様が』
「なにがあった」
 ユリウスの手の甲を一本の指が押さえた。いつの間にかアルカードがそばにいて、ユリ
ウスが鞭においた手を人差し指で抑えている。彼は頭をかたむけ、扉のむこうに耳を寄せ
た。
「どうしたんです」
 崇光もやってきて、三人をかばうように扉との間に立ちふさがった。
「ここにはだれも近づいてはならないはずです。いったいなんの騒ぎですか? 闇の者の
襲撃ですか?」


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