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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

228 煌月の鎮魂歌10 19/43 :2017/08/12(土) 22:54:05
「ユリウス?」
 急速に音が戻ってきた。
 ユリウスは目を開き、真っ白な床と、そこに立つ自分のブーツのつま先を見つめた。驚
くほど頭が澄み渡っていた。つい今まで感じていた苦痛は夢の一片として記憶にあるばか
りだった。
 腕は眼前の函の中に伸び、そこに置かれた古びた革鞭の握りをつかんでいる。函のかた
わらには崇光が立ち、油断のない姿勢で手をなかば持ち上げている。強烈な視線がこちら
にむけられているのを感じる。
「ユリウス? どうしました?」
 ユリウスは長い息をついた。
 そしてゆっくりと腕をひき、鞭を函からとった。
 ひどく軽かった。これまで持ったどの鞭よりも軽く、それでいて弱々しいところはまっ
たくない。なめし革で巻かれた握りは手にしっくりと吸いつく。生まれてこの方、この鞭
を手放したことなどないように感じた。はじめから身体の一部だったという気さえする。
編んだ革の先にまで神経が通い、鞭がこすった繻子の布のなめらかさまでも指に触れる。
 それでいて、新たな力が身のうちを駆けめぐっている。先ほどまでは圧迫感としてあっ
た強烈な力と霊気が、血管に流れる血と同様に心臓を出入りし、神経の火花として動いて
いる。
 両手に持って鞭を張ると、小気味いい音がした。軽くしごいて力をくわえる。鞭はしな
って大きな弧を描き、幾重もの円を繰り出して、一瞬にしてまたユリウスのもとにもどっ
た。受け止めたユリウスの手で、鞭は機嫌のいい猫のように温かく身を丸めた。
「鞭は彼を使い手として認めた」
 低い声がした。崇光は振り返った。アルカードが壁際から歩いてきて、ユリウスの前に
立った。あとからイリーナが小走りにやってきて少し離れたところで立ち止まり、鞭を手
にしたユリウスを丸い目をして見た。


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