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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

227 煌月の鎮魂歌10 18/43 :2017/08/12(土) 22:53:24
 血の呪いというなら、これこそがまさにそうだ。けっして自分を見ない相手を、狂うほ
どに愛しつづける運命を刻まれている。魂を焦がす苦悩は、同時にあまりにも甘美だ。ど
れほど憎もうとしても、かぐわしい月の光にふれればたちまち幸福が全身を満たす。
 だが月を癒すことはだれにもできない。喪われた本当の伴侶以外には。絶望と愛に引き
裂かれながら見つめるものの前で、月は手も届かない高みで輝く。その光で万物を照らし
ながら、自らは、孤独のうちにただ刻々と凍りついていくというのに──
 頭上で相手がゆらりと動いた。
 もはや口もきけず、うなだれたまま涙で頬をぬらしていたユリウスは、今度こそ審判が
下るものと感じ、戦慄にも似た期待に身をこわばらせた。相手は一歩前に進み出、ゆるや
かに身を屈めてきた。濃い茶色のかたい髪が頬をかすめた。
(──、)
 耳に吹き込まれた一言に、ユリウスはまばたいた。
 予想もしない言葉だった。思わず相手を振りあおごうとしたとたん、身体が傾いた。反
射的にもがいて掴まるところを探したが、触れたところから白い床は霧となって虚空にと
け、ミルク色の粒子が渦を巻いた。
 再びユリウスは落ちた。無音の虚無をどこまでも落下していく。自分の赤毛が上方に向
かって吹きなびき、握った鞭もまた何かを求めるかのように遠い空へとのびている。
 小さくなる視界の中心に、あの男がいた。同じ鞭をもち、夏空の青の目をして、読みと
れない表情を血を継ぐものに向けている。
 そのひらいた胸元に、小さく光るものをユリウスは見た。無骨な指先が、いつくしむよ
うに触れている。鎖を通して首から下げられた、きゃしゃな銀色の指輪。まるで月光で─
─彼のあのひやりとする髪をとって編んだかのような、細く美しい指輪。


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