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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

224 煌月の鎮魂歌10 15/43 :2017/08/12(土) 22:51:37
 蹴り上げた脚が交差する。
 男は体躯に似合わない軽い動作でつま先を弾き、ひらりと回転して地に降りた。複雑に
交差した鞭の軌道はたちまちほどけ、弾けてユリウスのもとに跳ね返ってきた。自らの放
った攻撃をことごとくそっくりそのまま戻され、ユリウスは声高に呪った。自分自身の技
をさばくのに気を取られたすきに、敵の鋭い攻撃が絡むように這い寄ってくる。
 ユリウスは罵声とともに身を低くし、相手のブーツの足首めがけて這うような蹴りと鞭
の触手をとばした。はためいた相手のコートの裾が下に降りないうちに跳ね起き、血の駆
り立てるままにまた技を繰り出す。赤い髪は逆立ち、まさに毒蛇にふさわしい鎌首をもた
げて乱れ飛んだ。足首を絡まれて、男はわずかに動きを止めた。とたん、一瞬にして百に
もおよぶかと思われる鞭打の波が、身を低くした彼に襲いかかる。
 伏せられていた男の目が光った。──青く。
 何が起こったのか、見て取れるものはいなかったろう。なにか形のない、しかしすさま
じい質量を持つ突風に、ユリウスは吹き飛ばされた。骨がきしみ、砕ける音がした。声を
もらした唇から血のしずくがこぼれ、虚空に赤い筋をひいた。
 手の中の燃える鞭の感触が薄らぎ、遠ざかった。ユリウスの繰り出した攻撃はことごと
く打ち砕かれ、塵となって失せた。男の腕のまわりで聖鞭ヴァンパイア・キラーは生き物
のようにうねり、宙をないだ。鞭のうなりがかすかな残響となって漂った。
 男はまた静かに立ちつくした。すべては一瞬のことであった。
 ユリウスは打ち倒され、鞭も砕かれて、その場に横たわっていた。なすすべもなく。短
い交戦によって骨の髄まで打ちのめされ、敗北を刻みこまれていた。
 敵手はこの空間そのもののように強力で抜かりがなく、情けもなく、ただ冷徹な知性と
戦闘の意志に満ちていた。人間のかなうはずもない相手なのだった。ましてや感情に突き
動かされ、泣き叫ぶ幼児のように飛びかかっていったユリウスでは、とても。


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