したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

223 煌月の鎮魂歌10 14/43 :2017/08/12(土) 22:51:04
 たまらずユリウスは膝を折った。痛打された腎臓が破裂するような激痛を生み、酸い胃
液が勝手にこみあげてきて喉を灼く。傾きかかる身体をののしって頭を振り、つきかけた
腕をよじって肘をつきあげる。
 肘はがっしりした胸をかすめ、相手がわずかに息を吐くのを感じた。勢いをかってわざ
と倒れ込み、転がって敵の下から逃れる。痛みは煮えたぎる感情のあらしにさらされてど
こかへ飛び去った。
 迫る風の音を耳というより肌で感じる。一瞬早く体をさばいたが、攻撃はなおも追いす
がった。胴体に衝撃。息が絞り出され、あばらが軋む。腰から胸に巻きついた鞭が大蛇の
ように締め上げ、肉と骨とを食いちぎろうとしている。勢いに逆らわず、鞭の方向に従っ
て転がった。相手がさらに締め上げるより早く回転して束縛を脱する。鞭の先端がカミソ
リのように肌を傷つけ、血が流れた。白い空間に鮮血が点々と散る。
 両腕をついて跳ねあがる。大きく空中に鞭を舞わせた相手の姿がさかさに見えた。その
濃い青の双眸が胸をつらぬく。左目をかすめる傷跡、彫りの深い厳しい顔立ち。その顔が
どれほど柔らかくなごむか、ユリウスは知っている。
 筋肉の限界まで身をよじって、高く脚を蹴り上げた。同時に手の鞭がうねる。操り手の
錯綜する感情をそのまま映したかのような、絡み合う軌跡が描かれた。一目ではとても見
てとれない複数の打撃が相手の頭上に広がる。姿のない蜘蛛がいっせいに糸を吐いたかの
ような、それぞれが必殺の気をこめた鞭が唸りをあげる。
 打たれようが刺されようがどうでもいい。たとえ心臓をえぐり出されたとしても。
 俺は。 
 お前にだけは。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOX(DVD付) / SMD



掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板