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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

222 煌月の鎮魂歌10 13/43 :2017/08/12(土) 22:50:29
 長い一呼吸ののち、白い虚無の奥に、何かが動いた。
 ユリウスは唇をあけ、あえいだ。その相手は大型の獣のように静かに、優雅とさえ言え
る動作でこちらに向かって進んできた。
 古風な長いコートの裾が動きにつれてゆっくりとなびく。肩を少し越えるほどのかたい
茶色の髪、精悍な顔立ちはまさに狼。彫りの深い男性的な顔立ちに、夏空の深みを思わせ
る鮮やかな青のベルモンドの目が光り、その左目をたてに裂くように、灰色を帯びた傷跡
が走っている。そして広くあけた上衣の胸にも、大きな傷跡が。
 男は鞭を手にしていた。ユリウスが手にしているのと寸分たがわぬ、聖鞭〈ヴァンパイ
ア・キラー〉を。
 ユリウスは男の名を知っていた。
 いまだ会ったことはなく、この瞬間までは会うこともなかったが、この世でもっとも憎
む男の名を。


 忘れたと思っていた憤怒がなにもかもを押し流すいきおいで噴出した。
 ちぎらんばかりに鞭をつかみ、雄叫びをほとばしらせて、ユリウスは黙然と立ちつくす
相手に向かって飛びかかっていった。
 化鳥の叫びとともにうち下ろされた鞭はあっさりと片手で跳ね返された。まったく同一
の鞭を手にした男は右の前腕をわずかに振っただけでユリウスの攻撃をしりぞけ、同じ一
動作でユリウス自身へと攻撃を跳ね返らせた。ユリウスは歯をむき出して鞭をひき、大き
く肩を開いて真横から鞭をしなわせた。
 攻撃がかすめた場所には、もはや男はいなかった。空を切った一撃に気づいてユリウス
が身をひるがえす前に、男は彼の背後に移動していた。ほとばしる無音の気合にユリウス
が身をひねった瞬間、とがったブーツの先があばら骨を砕かんばかりに蹴り込まれた。


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