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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

220 煌月の鎮魂歌10 11/43 :2017/08/12(土) 22:49:21

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 はためく時間と記憶のただ中を、まっしぐらにユリウスは落ちていった。
 頭を下にしているのかそれとも足を下にしているのか定かではなかった。そもそも肉体
があるのかどうかさえ判然としない。ユリウスの存在は膨大な記憶と積み重ねられた過去
のなかに解けさり、存在のしるしとしては、ただ観察者としての位置、はためき過ぎてい
く累代の鞭の所持者たちの顔や手や動きを、ちらと認識するだけの無力な通過者でしかな
かった。
 見たことのない男たち……時には女もいる……その誰もがきびしい青い目をし、同じ聖
なる、または呪われた、革の鞭を手にしている……しなる胴体は蛇のようにかれらの運命
に巻きつき、締めつける……たくましい肩や胸、踏みしめた足……はためくコートと切り
裂かれる肌、その上に咲く血の赤い花、目の端をよぎる怪物のおそろしく歪んだ顔貌、よ
じれた手、むきだした牙……血が油のようにゆっくりと滴り、何者かの命数がつきたこと
を告げる……黙然と立ちつくす長身の影……手にはだらりと下がった鞭がある……一瞬、
どこかで記憶を刺激する顔立ちが、同じく遠い記憶の中にあるような、ほっそりした背中
の女と寄り添っているのが見えたが、それもまたすぐに、重なり合う時間の翼のむこうに
はばたいて去ってしまう……
 くるりと場面はまわり、銀髪をなびかせた男が鞭とともに古い呪文を口にし、あたりを
払っている……銀髪……銀髪……胸が苦しいのはなぜだろう……また視界がまわる……
 現れた男はどこか記憶を切りつける痛みをもたらす……声を上げようとするが喉も唇も
存在しない……ちがった、これは〈あの男〉ではない……彼よりも若く、いくぶん穏やか
な目をしている……戸惑ったような……悲しげな? いや……金髪の幼い少女がいる……
四匹の獣たちをつれて……少女はいつのまにか成長して若い娘になる……銀髪……黒衣の
……また舞台がかわる……


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