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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

219 煌月の鎮魂歌10 11/43 :2017/08/12(土) 22:48:44
 いまや妖艶な女の姿となったかつてのボウルガード夫人は、性の極みにあるかのように
唇を半開きにし、身をくねらせて手をのばした。
 そこに、鞭があった。黒く、沈んだ色の黄金と宝石で飾られており、赤い光がちらちら
とまつわるさまは、その場にありながら地底の炎をまつわらせているかのようだった。握
りに填められた黄色い琥珀が魔物の目のようにまたたいている。
 ラファエルは獣のようにうめいて手をのばした。その手の触れる寸前、女はつと鞭を後
ろへ引いた。
「ああ、いけません、いけません」
 唸り、叫び、首を左右にふってもがく少年に、女は唇を突き出して指を振った。
「これは正しき鞭。あやまった聖鞭を砕くべく作られたあなた様の鞭、ね、でも、これを
おとりになるには、今のままではいけません。いえ、これはあなた様の鞭です、資格だな
んだ、うるさいことは申しませんわ、でもね、ラファエル様、これをお持ちになるには、
たった一つ、せねばならないことがありますわ──」
 開いた唇がみだらに喘ぐ。硫黄の臭いが強まった。少年は叫び、身もだえ、鞭を求めて
悲鳴を上げた。ほとんど言葉になっていないその声にこもった意味を、妖女は正確に理解
した。
「ああ、わかってくださるのね、ラファエル様」
 唇が開き、その肌よりももっと白い、長大な牙がこぼれ出た。
 墓場の臭いが一気に強くなった。
「嬉しいわ」
 女の影がベッドに倒れこんだ。かすかにすすり泣く悲鳴が上がり、ばたばたと手がベッ
ドを打って、やがて力なく垂れさがった。あふれる長い黒髪が夜の滝となってベッドを覆
う。猫が舌を鳴らすのに似たぬれた音。
 そして静寂。


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