したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

216 煌月の鎮魂歌10 7/43 :2017/08/12(土) 22:47:04
 彼にとって、血とその味に結びつけられる人物は一人しかいない。それはどこともしれ
ない天国に座す神の子ではなく、たった今、この同じ部屋にひっそりと佇んでいる、月の
顔をした闇の公子だ……
「鞭をとりなさい、ユリウス・ベルモンド」
 崇光の声が強さを増した。
「鞭をとり、そして、出会いなさい。あなたの宿命に」
 ユリウスはもう一度大きく息を吸った。
 そして手を伸ばした。すぐ目の前にある祭壇がひどく遠く思えた。空気が粘りけをま
し、自分の腕が伸びていくのがひどく遅く見えた。自分のものではないような手が、函に
ふれ、その内部に眠るものをつかむ。
 それは手の中で一瞬もがくように思えた。触れた瞬間は冷たくてざらついていると感じ
たが、一瞬のち、それは熱くなり、なめらかな絹の手触りになった。手のひらを温かな繻
子の表面がこすると感じて、ユリウスはさらに手を入れ、その、古びた皮の鞭の握りを、
しっかりと掴んだ。
 なにも起こらない──そう思った。
 だが、口を開こうとした次の瞬間、足もとの床が割れた。
 口を開いた暗黒がユリウスを飲み込んだ。白い石が音もなく舞い、立ち上がって周囲か
ら折り重なってきた。崇光とイリーナ、そして、アルカードの姿が上昇し、小さくなっ
て、視界の果てに消え失せた。墜落と失墜の恐ろしい感覚がユリウスを捕らえた。
 ユリウスは叫んだ。だが、声にはならず、なったところで誰も聞いてはいなかった。
 底もなく続く暗黒の陥穽の底へ、ユリウスは墜ちた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOX(DVD付) / SMD



掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板