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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】
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:
煌月の鎮魂歌9 17/22
:2016/06/18(土) 06:21:23
また、その内部に秘められた熱さを知ってもいる。大理石の彫像を思わせる肉体は、
その内部に熱せられた蜜を含んでいた。毒のある蜜蜂が集めたかのような、人を狂わせる
魔性の蜜。
触れればたちまち理性を奪われ、狂ったように行為に沈み込むのはいつもユリウスの方
だった。微かな苦鳴も苦しげな呼吸も、渇望をあおり立てる種だった。触れれば触れる
ほど、口にすればするほど飢えをそそられ、渇きはいや増す。どれほどむさぼり尽くして
も飽き足りない、いっそこの身体をばらばらに引き裂いて心臓を引きずり出してやりたい
欲望にすらかられる。
血まみれの胸から引きずり出した心臓を、自分の胸を引き裂き、その傷口に押し込めば
この渇きは癒えるだろうか。自分の心臓を引きちぎり、そのかわりに冷たい胸の奥で拍っ
ている心臓を置くことができれば。二つの心臓を溶け合わせて、ひとつにする方法が
わかれば。冷たく白いこの月の精霊に、本当の意味で手を触れることさえできれば。
(彼はあなたを見ない、ユリウス・ベルモンド)
わかっていた、とユリウスは思った。
わかっていながら知ろうとしなかった。あの女妖と戦った夜に、体内に荒れ狂うベルモ
ンドの退魔の力に翻弄されながら、それは何度も幻に現れたはずだ。あの箱庭の天国、
二人だけのエデン。誰の侵入も許されない国、あまりに完璧すぎた故に破壊された幸福。
アルカードとあの男以外には存在しない、絶対の王国。
明らかな事実から目をそむけて、意味のない行為に惑溺することで自分をごまかして
いた。そしてその見ようとしない事実と自分自身に苛立ち、怒り、そのすべてを目の前に
捧げられた肉の身体にぶつけていた。何の意味もないことを、心の奥では知っていたと
いうのに。
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