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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

161 煌月の鎮魂歌8 27/29 :2016/01/16(土) 18:49:18
 なかば夢見、なかば目覚めながら、ユリウスはベッドの上でのたうち、呪いの言葉を
吐いた。目覚めたばかりのベルモンド家の力が体の中で言うことをきかない獣のように
暴れ回っていた。あの男の中にも宿り、血を通じて連綿とユリウスまで受け継がれて
きた、退魔の力が。
『俺じゃなくてもかまわないんだろう』
 幾度かそんな言葉を吐いた。どんな時だったかもう覚えていない。裸体に剥かれた
アルカードを、かんしゃくを起こした子供のようにもみくちゃにして犯しながら叫んだ
気がする。
『ただ鞭の使い手が欲しいだけなんだろう。おまえが欲しいのは俺じゃなくて、俺に
流れてるベルモンドの血だけなんだ、この雌犬が』
 その通りであることを、まざまざと目の前につきつけられた思いだった。アルカード
が取り乱したのはたった一度だけ、あの指輪を、あの男の形見であるあの印章指輪を
奪われた時だけだった。今となってはその理由もわかる。彼にとってはあれは、心臓
の一部をむしりとられるに等しい行為だったのだ。なぜ彼が黙って指輪を手放したのか
信じられない。取り戻そうとすらしないことも。ちぎりとられた傷口は、見えない血の
涙を流していまこの時も泣き続けているのだろうに。
 ──汗まみれになり、胸を大きく上下させながらユリウスは天井を見上げて横たわって
いた。
 いつのまにかまた日が暮れていた。窓の鎧戸はおろされて、ベッドサイドのランプだけ
がぼんやりと灯っていた。
 シーツは汗で冷たく、力に煽られた身体は炙るように熱い。ランプの橙色の光があの
静かな小さい世界を照らす蝋燭を思い起こさせ、目を腕で覆って顔をそむけた。
 手に巻いた包帯が自然にほどけて落ちた。傷はきれいに癒え、何のあとも残っていない。
 喉がひりついた。枕もとに用意されていた水差しの中身をひと息に飲み干し、溺れる
もののようにあえいだ。一日以上なにも口にしていないはずだったが、空腹は感じ
なかった。体内を荒れ狂うベルモンドの血、あの男から受け継いだ呪わしい力が、飢え
を感じなくさせていた。


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