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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

151 煌月の鎮魂歌8 17/29 :2016/01/16(土) 18:42:37
『この姿を見せたからには、貴様たち、生かしては返さぬ』
 火を吐くように言い捨てると、メキメキと樹木がきしんだ。
 中途で断たれていた前脚から緑の粘液がしたたり、すみやかに新しい脚を作り上げた。
ずしんと地面を踏みならした怪物は、その巨体から考えれば驚異的な早さで木々の間を
すべり抜け、ユリウスたちに這い寄った。押し分けられた樹木が葦のように左右に倒れ、
根こぎにされた株が土をまき散らして次々とはね飛ぶ。鼓膜に釘をつきたてるような狂笑
を放ちながら、昆虫の目をした女の頭がぐるりと回転した。爬虫類の背で髑髏蛾の翅が
逆立ち、震え、文様の髑髏が歯を鳴らして地獄の門を開こうとする。
「禁!」
 澄み渡った声がして、二条の光が翅めがけてとんだ。
 今にも開こうとしていた髑髏のあぎとは白い光を放つ二枚の長方形の符によって閉じ
られ、それ自体苦しみもがくかのように悶えたかと思うと、吐き出してきた毒蛾どもと
同じく塵になって四散した。
「遅れて申し訳ありません。結界を安定させるのに手間取りました」
 白馬崇光が青白い顔をして立っていた。髪は乱れ、血の気のない唇を強く引き締めて
いるが、胸の前にトランプのカードのように何枚も広げた呪符は小揺るぎもしない。
「まさかこれほどの大物が侵入しているとはね。屋敷に帰ったら、それこそ結界班を
総動員して全結界の再チェックと強化をしなければ」
 翅を失った爬虫類が咆吼し、女の頭部が異界の言語であろう耳障りな言葉で狂ったよう
に叫んだ。両方の鼓膜に錆びた釘をつっこまれたようだ。ユリウスは目の前に黒い点が
飛び交うのをこらえて、聖水のアンプルを口に含んで飲み下した。これで三本。
 あと四本。
 地獄のトカゲが身をうねらせて突進する。ユリウスは身をひねり、頭部をねらうと
見せかけて皮のたるんだ腹部を狙って鞭をとばした。剃刀のような鞭先が正確に急所を
直撃し、怪物はその場で立ち止まって頭を振り立てて足踏みした。地面が揺れる。まるで
地震のような揺れにふらついたとたん、「トト!」と叫ぶイリーナの声がした。


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