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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

149 煌月の鎮魂歌8 15/29 :2016/01/16(土) 18:41:30
 求愛をすげなく退けられた乙女のように、ムタルマ女伯爵は悲しげにうつむいた。
細い両手がゆたかな乳房の上で重ねられて震えている。意を決したようにさっと上げた
顔で、蛾の複眼と化した両眼がカットされた巨大なダイヤモンドのようなきらめきを
放った。
『それでは、やはり──そのお命から卑しい人間の血を抜き取り、本来の闇の生命に
目覚めていただくしかなさそうですわね!』
 ユリウスはほとんど本能に突き動かされるように鞭をとばした。鋼鉄を打ったような
手応えがあり、一瞬のうちに頭上数センチのところに迫っていた黒光りするサソリの
尾が、からめとられてはね飛ばされた。鉛色の毒液があらぬ方向へとび、どこかで
じゅっと焼ける音がした。生臭い悪臭に、苦い酸の突き刺すような臭いが入り込んで
きた。
 巨大な六本脚の爬虫類の舌先で、昆虫の目をした女がのけぞって狂笑を放っている。
頭を低くして身構えていたビャッコが、咆吼とともにつっこんでいった。かっと開いた
顎が爬虫類の垂れ下がった喉袋に食らいつき、噛みちぎろうと頭を振る。肉がちぎれ、
ぼたぼたと緑色の血液めいたものが草地を汚して、女と爬虫類の口から同時に、聴くに
耐えない苦悶と怒りの声があがった。
 口をあけた傷口めがけて、ユリウスの鞭が槍のようにつきささる。扱う者が使えば
刃物よりも強力な武器になる鞭は、鼻をさす煙をあげながら緑の血を垂らす傷口を
さらに大きく裂き、そのまま下から打ちあげるように、六本の前脚の一本をなかばから
切りとばした。
 女の口からなにか理解できない叫び声がもれ、両腕がさっと開いた。爬虫類の背中の
翅が大きく広がり、燃える髑髏紋が生き物のようにかっと骨ばかりの顎を開いたかと
思うと、そこからあの巨大な毒蛾の群れが風に跳ばされる吹雪のように吐き出された。
 アルカードの剣が一閃する。ユリウスとイリーナにかぶさろうとした蛾の一団が、
瞬時に塵となって散った。
 青白い稲妻が入り乱れ、青銅の鐘を鳴らすにも似た声が上空から響く。ユリウスは
全身に電光をからみつかせながら、目を怒らせ威嚇するように地上を見据えるセイリュウ
を見た。


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