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Awake

58 Awake 4話(4/9) :2013/09/20(金) 05:54:49
「くっ……俺は何を考えている?」
 ヒューがふと剣身を鏡のように己の顔に向けると、そこには苛立ち眼窩が少々窪んだ魔性の
ような己の姿が映っていた。
 そのざまに先程自分が陥った下品な想像をしたことを思い出してしまい、途端に顔面を
歪ませてあまりの惨めさに聖剣を取り落としその場に額づいた。


「俺はどうかしている! 奴の事は好敵手だと。それ以上の感情で接するつもりは無いと
思っているのに! 接触が無くなったと思った途端に奴の事を求めているのか?」
――嫌だ! 穢れている。肉欲を生ずる穢れは悪魔に付け入る隙を与えるというのに!
何の為に聖鞭を継承する時まで貞潔を守っていると思っている? しかもソドムの罪を犯
す気など更々ない!
「だが、そんな事もその考えも俺が奴より早く親父を救出する事で消え失せる。それに親
父が何と言おうと俺に継承者の称号と、ハンターのムチを与えない事は周りが納得しない
だろう……。 クク……ハハハハ……」
 己の昏き想いの詰まった文句を、その内容に似つかわしく咽喉から乾いた声と共に虚ろ
に暗く呟き、軽く閉じた色濃い睫を縁取った光彩の無い黒檀の瞳を見開くと、回廊の先に
向けてノロノロと立ち上がった。
 駆けずり回った先に階段が無いと踏んだヒューは、己の見上げた先にある中空に浮いた一
対のレンガの坂を見つけた。
 向かって勢いよく助走をつけ、そのまま駆け上がると天高くレンガが上方に敷き詰めら
れた空間にでた。
 ここからどう登っていこうかと思案したが、ところどころに足場があるのを見てそれを
利用してに縄を両手で持つと床を蹴り、あたかもモーリスの救出が己の手によって成し遂げら
れる事を実感するように、一握と進めながら天井に向かって登っていった。
 さながら己の心を鼓舞する心持で、そう、誰かは判らないが自分に対して比類なき賞賛
を与える声を心の中で繰り返しながら。
 だが本人は気付いてはいない。といってもこの時点のヒューがそうと言われても頑なに拒否
するだろうが、それは己の価値を他人に委ねる積極性のない受動的な思考によって、突き
動かされた行動だったことを。
 そして誰かに何かを委ねる行為が魔に対して、共依存を誘発する格好の撒餌になるとい
う事を。


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