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Awake

212Awake 18話(7/10):2013/12/23(月) 02:40:01
 三人はその状況に心から喜び破顔しかけ小躍りしたい気持ちになったが、儀式の妨げと
なるような行為をすべきでないと興奮を静めた。
 そして、最後の交唱を聖職者側と共に唱え全ての儀式が終わった。
 モーリスは概要のみで済み、修道司祭が内容を詳らかに聞くことがなかったのは、過程はど
うあれ、三人が生きて帰って来た事と、言質の取れない予測だが、エクソシストの司祭
――いや、本来はただの司祭ではなく司祭枢機卿の手回しもあったのだろうと考えた。
 ともあれ、最後の関門を通過したことで息子と、恩義ある僚友の遺児の事を思い、今度
は誰一人欠けることなく生還できた事実を噛みしめた。

 それから、祭壇から歩み出た修道司祭に促された三人は、翼廊近くの身廊まで来ると、
彼の合図で聖堂の門扉が一気に開いた。
 開扉した所から徐々に陽の光が差し込んで来た。白亜の身廊を一直線に照らすと、彼ら
の足許まで光の道が煌々と広がった。
 その眩しく皓々たるさまは、人々の脅威を取り除いた英雄の前途を指し示しているよう
な清浄さに満ちていた。
 そして、外に出ると報告の際にはざわめきながらも大人しく待っていた人々も、彼らの
姿を見た途端、割れんばかりの歓声を上げた。
 三人はその様に嬉しくなり、疲れた体と心が癒されるようで握手を求められたらそれに
応え、修道院の前に止めていた馬車までの距離は短くても人々の輪が集い、囲まれ、歩み
は遅々として進まなかったが、馬車に乗り込んでからもその声は聞こえていた。
「師匠、人の喜びはどんな時に見ても心穏やかにするものですね……」
「その通りだ。儂等はどんなに忌み嫌われ、名誉が得られずとも人の世がある限り、魔を
打ち払い続けるだろう」
「ですが、教会で報告した内容で本当にいいのでしょうか? 実際、師匠やヒューが魔手に
落ちかけたとはいえ、お二人の話を詳しく聞けば聞くほど魔性との密な接触を許している
のは明白です。取り様によってはヴァチカン側からの召喚も免れないかと」


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