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Awake

184 Awake 15話(11/14) :2013/12/20(金) 23:26:36
「だけど、あんたや彼女と一緒に過ごした時間は、そんな葛藤や渇望をも忘れさせてくれ
る程とても幸福だった……僥倖を享けた自身が死ぬ事に未練は無い……心残りが無い訳で
はないが……その前に……」
 グレーブスは瞠目し、ぎこちなくモーリスに微笑みかけると、一筋の涙を流して血でむせながら
も明朗な声音で懇願した。
「ありがとうモーリス。最後に人の心を取り戻してくれて……それから、済まないがネイサンを頼
む。愚かな俺のように、力だけで孤独に生き抜く事の無いよう教え導いて……くれ」
「グレーブス!?」
「……」
 遺言を残したグレーブスは最後の言葉を紡いだ後、消え入る様に穏やかな相貌で逝った。そ
れでも温かい血が流れ続けていた。瞳孔を開いたまま絶命したグレーブスの遺体をモーリスはひし
と抱きしめ、次第に無念が込み上げると廃墟の真っただ中で咆哮した。
「……俺はお前達を助けられなかったんだ! 謝辞を言われる理由など無い――!」
 魂はこの世にない、もう二度と照れ隠しのつもりで捻くれた表情をして言葉を発する皮
肉屋の声を聞く事が出来ないのは分っている、分かっていたが、それでもいつも一緒に戦
ってきた仲間を一度に失った悔しさと悲しみは、すぐに拭い去る事など出来る筈もなかっ
た。
「起きてくれ! 目を……っ、覚ましてくれぇー! お前まで逝ったら誰があの子に能力
を引き出させる事が出来るんだ!?」
 モーリスは心ならずも力を求道しなければ己の精神の均衡が保てなかった僚友と、力を持ち
ながら共に生き、愚かなまでの抱擁を是とした僚友の妻の生き様に、言い様の無い空虚と
憐憫を以って生き残った己の道を思い、どの様な声を出して泣いているのかさえ分らない
くらい哭いた。
――こんな道を残された子供達に歩ませていいのか? 俺は……強制したくは無い。
だが、俺達のような力を持っている者がこの世にどれだけ居ると思っている? 人の力だ
けで解決できない事態を見過ごして一時の安寧を得たとしても、後悔だけが残るだろう。
グレーブスは力など要らないと言った。


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