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Awake

183 Awake 15話(10/14) :2013/12/20(金) 23:22:12
「ごめん。結局、君を幸せにするどころか俺は……君を殺しちまった。許さなくていい、
どうか、天国に行ったら俺の事なんて忘れて心穏やかに居てくれ。もう、力もしがらみも
全て、君を苦しめるものはないのだから……だから、口づけはしない。愛していても、俺
にはその資格がないから」

 それからグレーブスは天を仰いで嘆息し、死に逝く者として惜別の情を吐露し始めた。
 唯の人間であれば白目を剥き、喀血した血液が咽頭に逆流して呼吸もままならないが、
それでもすべて吐き出さないと安らかに逝けないと思ったのだろう。
「モーリス……。俺は力なんて要らなかった。もし出来得るなら平凡に生き、彼女に愛される
事に引け目を感じないで愛し、ネイサンを教え導きたかっ……ぐばっ……はぁはぁっ……普通
の家に生まれた俺だけに退魔の力があったせいで、家族共々奇異の目で見られバラバラに
なった……代々その能力を連綿と受け継ぎ、その状況を少なくとも一族だけが奇異としな
いあんたの環境が羨ましかった」
 彼は痛みに耐えつつ今度はモーリスの手を震えながら握り胸元に引き寄せると、荒い息を常
人の様に弾ませて苦痛に満ち引き攣った笑顔を見せたが、その眼には清々しい輝きが宿っ
ていた。
「同時に俺と同じ力を持つ者と出会えた事がどんなに嬉しかったか。そして心からこんな
俺を愛してくれる彼女も……オブッ……グフッ……同じ力を持っていた事にどれだけの運
命を感じたか……」
 そう言うと、グレーブスは再び夫人の手を取り、嵌めている指輪を確認するかのように彼女
の手に優しく触れた。そして、また咳込むと、大量に喀血し鮮血が大地に迸った。
「……ゼェゼェ……だが、この能力のせいでどこへ行っても風聞によって気味悪がられ、
まともな仕事を得ることさえ出来ず、食うに困って己が忌避している能力を嫌々ながら使
わざるを得なかった。だからその対価として……唯一無比の限りなき栄誉と賞賛が欲しか
った」
 モーリスは悔恨を口にした彼の淀みない言葉に、今まで過ごしてきた時間を思い返すと自然
と双眸から涙が溢れた。


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