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Awake

172 Awake 14話(17/18) :2013/12/19(木) 03:23:43
「戦って判った。ネイサン……お前は人の身で在りながら魔性の力を己の物にして、くっ……」
 断裂しかけた足を庇っているせいで真っ直ぐ走る事が出来ずに、時々壁の方によろけな
がら、だが今までとは違い自分を愛してくれる者を助けるため、そして自分以外の人間を
心から救いたいという明確な目的を持って、一歩、また一歩を迷い無く己を信じて踏み出
していた。
「いや、向かってくる力そのものを受け流し自壊させる術を、いつの間にか習得出来てい
たんだな」
――人の世界ならいざ知らず、魔性の跋扈する世界では人の力に毛が生えた程度の力で感
情の赴くままに立ち向かう事自体が愚かだ。
俺は知らない世界で卑小な感情を以って粋がっていただけに過ぎん。
「だが、後悔している暇は無い。俺は俺にしか出来ない事であいつを、ネイサンを援ける」
――そして……生きてあいつの想いに今度は俺が応える。
親父以外に兄弟でも無いのに俺の我儘も暴言も全て包み込んで、あんなに成った俺を殺さ
ずに目覚めさせたあいつの想いを無駄にしないためにも、今ここでくたばる訳には……
 胸に手を当てヒューは切にネイサンの身を案じ、微かに笑いながら一瞬立ち止まった。
「それに、今は俺の事など気にせずに早く親父の許へ向かってくれ」
 だが、その隙を突いてダークアーマーが彼の背中に向けて黒い煙を剣から発した。
 察知した彼は振り向き様に黒煙を躱わして、ダークアーマーの腹部の鉄帷子に剣を素早
く刺し貫くと、思考を中断された苛立ちをぶつけるかのように、その身体を足蹴にして剣
を引き抜いた。
「退け! 塵に還れ!」
 そして、迫りくる魔物を蹴散らしワープゲートの間へ辿り着いたヒューは、天井を仰ぎ見な
がら自嘲した。
「親父……あんたの目は慧眼だったよ。何時ぞやは不見識だと散々詰ったが、その馬鹿で
蒙昧な暴言を吐き必死に諭そうとした気持を汲み取れなかった俺を、あんたは赦してくれ
るだろうか?」
 言い終わった後、穏やかな顔でワープゲートの光の水面に指先から浸し、そのまま己の
全身を委ねるように決戦の場所、全ての始まりの地へと続く凱旋回廊へ向かうため、ヒューは
光の渦の中へ呑まれていった。


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