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Awake

167Awake 14話(12/18):2013/12/19(木) 03:14:58
「フッ…これ以上、俺に恥をかかせるな。」
 一瞬、瞼を軽く閉じ首を下へ傾げたが直ぐにネイサンの顔を仰ぎ見て微笑んだ。しかし、そ
の両頬には赤い豪奢な絨毯の繊毛を赤黒く染めるほど止め処もない涙が伝い、まるで光を
見つめているようだった。
 そう見られる事に後ろめたい感情を抱いていたネイサンはヒューの眼差しを直視できず、聴き続
けるには心苦しかった。
 むしろ、何も言われず押し黙ってくれていたほうが、幾分かましな心持ちになっていた。
「お前は俺の告解を何故押し止めようとするんだ。初めてこれだけ曝け出した俺の弱い部
分を聞けないというのか? そうか……親父を助けるのに無駄な時間を取らせてしまった
ことに腹を立てているのか。そうだな、責められても仕方ない」
「違う! 俺が原因でお前が自分自身を卑下して傷つけている姿を、これ以上見たくない
んだ! それに断罪なんてもっての外だ!」
――告解だと? お前の体を傷付け、矜持を粉々に打ち砕いた俺はお前の後悔を受け止め
るに値しないと言うのに、それでも青眼を向けてくれるのか? あぁ、そんな貌をしない
でくれ、俺はお前を――

「……ただ、愛したいだけなのに、愛しているのに……手を差し伸べたいのに、お前が自
分自身を傷つけているのを知っていても俺がどうすることも出来ないのが悔しい。それな
のにお前が俺に自分を卑下している科白を吐けば、側にいるのに援けられない事実に打ち
のめされるから……」

「……愛している?」
 想いの丈を叩きつけた言葉の中に、己の苦衷と恋情が溢れ出てしまったのをヒューに聞かれ、
ネイサンは一瞬にして青ざめた。
 この想いは自分の心の中に秘匿しておくものであって、一生曝け出すつもりはなかった
とそう思っていただけに、言葉を回収したい心境が次の瞬間には言葉を詰まらせてしまっ
た。


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