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Awake

164 Awake 14話(9/18) :2013/12/19(木) 03:12:31
やがて振り下ろした鞭の鋭い音と、筋が断たれた鈍い音が同時に質量を以って重く響い
た。その音がヒューの行動の一切を奪った。
 肉を切り裂かれ筋を断たれた肉体は、どんなに気力があっても維持できるものでは無か
った。打擲され吹き飛ばされて、床に体を叩きつけられたままヒューは昏倒した。
 それでも気丈にも手を虚空に翳し立ち上がる素振りを見せたが、意識が切れてそのまま
の恰好でしばらく動かなかった。
「やめてくれ!お前をこれ以上傷つけたくない!ヒュー!!」
 肉を断った音にネイサンは自らの行為に戦慄を覚えた。もう、心は限界に近かった。
 すでに頭の中は後悔と自責の念で真っ白だった。言葉にならない叫びを泣きじゃくりな
がら発した。だが――
「ネイサン?ウウッ、お、俺は…。」
――生きている……正気に、戻ったのか……?
 完全に白目を剥き絶命しかけたヒューの肉体は神に懇願を受け入れられるかのように、明確
に生き永らえるのを許され再びネイサンの名を呼んでくれた。
 ヒューは大きく息を吸い、深く嘆息しながらゆっくりと瞼を開いた。ネイサンは介抱しようか
迷ったが正気に戻ったかどうかが分からず、近寄りたいと思っても足が竦んで動けなかった。
 いや、再び攻撃されたら自分の身を守るために今度こそ殺してしまうのは目に見える。
だから静観するしかなかったと言うのが正しいだろうか。
「…ありがとう…聞こえたよ、お前の呼ぶ声が…。」
「…ヒュー。大丈夫か?」
――城内で傷つき、独りよがりの言動を俺に向けた姿の見苦しさを見ても、お前を完全に
軽蔑するまで至らなかった理由がこの戦いでようやく解った。
 模擬戦では力を加減して対峙していたのではなく、無論互いに殺し合う位の粗野な感情
を持ってではなかったけど、それでも膂力がなく漫然とお前に立ち向かっていた俺を徒に
嬲るような扱いではなく、実力の差を受け止めた上で、いつも一人の人間として対峙して
くれていたのだ。
その感情は歳を重ね生きていくには不便なもので、知らず知らずのうちに削り取られてい
くのに、戦う毎に己の心のままでいられる孤高の理想が眩しく輝いていたからだ。


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