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Awake

132Awake 11話(7/8):2013/10/09(水) 23:12:14
「ここはどこだ……?」
 瞬時にして誘導された場所を見渡すと、そこには深紅の絨毯、一つの玉座、月輪の全体
が見える壁の様な広く大きなガラス窓があった。

 ヒューは自分の体を触ってみると、胸の脹らみや腰から骨盤にかけての扇情的な括れと、な
だらかな腰つきは消え、馴染みのある自分自身の体そのものだった事に安心したが、逆に
何もない事に焦って聖剣の剣身をまじまじと見つめ、細かい変化を見逃さないよう確認し
ていた。
 何度見ても眼の色はいつもと変わらない漆黒を湛え、犬歯が鋭利な形に変化したことも
認められなかった。
 ここはどこなのかと確認するために体を起こし立ち上がり、すぐに探索を始めた。
 だが、調べるまでもなく壁一面に広がるガラス窓から満月と対面する尖塔が見え、己の
現在地を然りと認識した。

「尖塔の屋根が同じ目線にあると言う事は……城の最上部、展望閣か。何故ここに俺は居
る?」

 状況が飲み込めず辺りを見回したが、自分の周りに敵どころか生き物の息遣いは感じら
れなかった。
 また自分が受けた傷はすっかり消え、むしろ力が漲っている様子だった。体も本来の自
分の姿のままだった。
 が、誰も居ないのが少々不安になってきたのか誰かに問いかけるように独り言をつぶや
き始めた。


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