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Awake

100 Awake 8話(3/9) :2013/09/24(火) 09:36:06
 それから、打ち倒した瞬間の湧き上がる征服感と、それに付随するハンターとしての名
誉と父親からの賞賛、そしてネイサンに対する変わり無き優越感と立場。
 それらを想像しただけで胸が高鳴り、快楽に酔い痴れる心持になって「ククク……」と
喜びを隠せずに野卑た低い声を満面の笑みで漏らした。
「貴様を消滅させれば俺は、この苦しみから解き放たれる。貴様は俺の生贄になるのだ」
 ヒューは先ほどの表情と格好を崩さずに対峙している女に指を指し、キリスト者にあるまじ
き言動(他者を自分だけの生贄と認識すること)を悪びれも無く言い放った。
 それに対して彼女は「傲岸だが実力を測れないほど狂ってしまったのか……」と内心、
己の術がここまで効いていた事に満足を覚えながらも、玩具の気分を損ねては元も子もな
いと思い、あえて礼節を重んじて対応する事にした。
「私の名はカーミラ。貴方の名は?」
「貴様に名乗る名など無い! 名乗れば貴様の術に利用されるのが落ちだからな!」
 案の定ヒューは頑なに魔と対話する事を拒否した。

――そう、その目と顔付き。やはりそうでなくては、面白味が無い。
カーミラは炎のように赤い舌で薔薇色をした己の唇を舐り上げた。
「……無礼な男。でも私は貴方の名を知っていてよ、ヒュー・ボールドウィン」
――やはりな……さすがに上級の吸血鬼は知恵が回る。名を持つ本人に言霊を語らせ感情
を盗んで利用するつもりだったか。だが、そこまで精神が浸食されていたとは思わなかっ
た。
 彼は腹立たしさからカーミラを射抜くような冷たい目で見た。しかし、彼女はその視線を無
視して軽やかな口調で更に続けた。
「貴方は今、何故自分の名を会話もしたことの無い私が知っているのか、疑問に思ってい
るのではないかしら?」


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