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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

89 古歌-イニシエウタ-【五ノ歌】18/9 :2011/03/28(月) 00:29:13
『魔女だ! 魔女を捕まえたぞ!』
『篭の中身に触るな! 毒だ、呪われるぞ!』
『母上! 母上!』
 若い公子の悲痛な叫びが響く。剣を抜きはらって兵士たちに斬りかかろうとするのを、
『いけません!』という母の鋭い叱声が止める。
『この人たちを傷つけてはいけません。彼らは何も知らないのです。自分がなにをしてい
るか、わかっていないのです』
『偉そうな口をききやがって、この魔女めが』
 兵士の手が母の頭からヴェールをむしり取る。下から表れた、咲きほこる百合のように
清楚な美貌にはっとしたように手を止めたが、じきに自分の任務を思い出したか、『来
い!』と腕をつかんで乱暴に引き立てた。公子も剣を奪い取られ、髪をつかんで殴られ、
蹴られた。母はきっと顔を上げて兵士を見た。
『子供に乱暴なことをしないでください。この子は何もしていません』
『何が子供だ。どうせ魔物か何かのくせに』
 返ってきたのは嘲りと暴力だった。ドレスはずたずたに裂かれ、奪い取られた。人を救
うための薬と処方は泥の中に踏みにじられて見えなくなった。大勢の兵士に囲いこまれ、
母と子は押し出されるように街の広場へと引き出された。
 そこにはすでに火刑台が用意されていた。そばには司教の冠を被った聖職者が立ち、街
に疫病と災いをまき散らした魔女に対する断罪を読みあげるべく待機していた。
 街の人々が広場を埋めていた。罵声が飛び、石や汚物が彼女に向かって飛んできた。中
には彼女に救われた人々も多くいた、しかし、今ここで表立ってそれを口にすれば、彼女
と同じように火刑台に上って焼かれるしかなかった。彼らは口をつぐみ、命を救ってくれ
た貴婦人に対して、口汚く罵りながら腐った卵を投げつけた。
 下着一枚になった彼女はそれでもまっすぐに顔を上げ、強い視線をじっと空に注いでい
た。まったく怯えたようすのない女にたじろぎながらも、司教は、街に拡がった病と汚染
された水は、すべて魔女である彼女の仕業だと言明した。でなければなぜ、その治療法を
知っていたり、こそこそと人の家の裏口から入ろうとするのか。
『おまえは魔女か、女』


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