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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

83 古歌-イニシエウタ-【五ノ歌】18/3 :2011/03/28(月) 00:25:58
「若君はいずれお父君の玉座をお継ぎになる大切な方です」弟同然の公子のふくれた頬を
つついて、ヘクターは笑った。
「俺たちはその日のために、もっとさまざまなことを学ばねばなりません」
 子供の手が離れた母は、幼い魔女見習いとなったジュリアに手伝わせて、さまざまな薬
草の組みあわせや、小さな白魔法の編み出しに時間を費やしていた。そこから生み出され
たさまざまな薬やよい食物、病人に元気をつけるためのささやかなまじないは、作り手自
らの手で病める人々、飢えに苦しむ人々のもとへ届けられた。
 妻が城の外へ出ることに関して夫たる王はあまりよい顔をしなかったが、こういう薬
は、きちんと使い方を理解している者が説明しないと、取り扱いが危険なこともあるので
す、ときっぱり告げられると、反論することができなかった。どのみち彼は、妻が求める
ことに対して、本当には拒否することなどできないのだった。
 配下の魔物たちのうちから護衛をつけさせることを提案したが、人々を怖がらせてはい
けないからとそれも断られた。闇の者はしょせん闇の者であり、万が一にも、人々を傷つ
けるようなことが起こってはならないから、とも。
 でも、と笑いながら彼女は言った。
「わたしたちの息子でしたら、きっと連れていっても大丈夫かもしれませんわね。あの子
はわたしの薬草術についてもよく知っていますし、少しは人間の世界を見せておくこと
も、あの子には必要ですもの」
 そこで、そのように事は運んだ。若い公子は母の護衛を務めることを喜び、光栄に感じ
るとともに、話にしか聞いたことのない人間の街を歩けることに少年らしい興奮を覚え
た。護衛の役割はようやく剣が似合うようになったばかりの彼にとって、魅力的な冒険で
あり、騎士としての栄誉の任務だった。
 ヘクターとアイザックの二人も、実の母同然に接してくれる女主人のことを気遣わない
わけはなかった。いつものように茶菓の卓を囲んでいるときに、ヘクターは小さな革袋を
取りだし、城の外へ出るときは必ずそれを身につけてくれるように懇願した。
 中身は小さな宝石のついた銀の首飾だった。細い銀線を複雑に組みあわせて魔術的文様
を編みあげた中に、小指の先ほどの虹色に光る石が収まっている。


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