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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

80 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/14 :2011/03/28(月) 00:23:13
 この日を境に、公子と従者たちの道は微妙に分かれた。それまで三人兄弟のようにいつ
もともにいた彼らは、二人と一人にわけられた。
 王の息子として、成人した公子は高貴の生まれに義務づけられた教育、王たることの意
味、真の高貴さと誇り、勇気と力の意味を学ばねばならなかった。生まれながらに身体に
流れる闇の王の血、その強大な力を制御する術は、人間のそれとはおのずから違ったもの
にならざるを得なかった。
 また、そうした闇の帝王学を修めるとともに、知らなければならない知識も膨大にあっ
た。父の統べる闇の世界に巣食う魔物と有力な貴族たち、その名と力、性向、勢力と本体
の能力、詰め将棋にも似た闇の者の手口とその交渉の方法、また闇の世以外にも数多く存
在する異界、そこに棲息する想像を絶した異質な存在、彼らを利用し、あるいは交渉する
特別の言語、数多く存在する異界の通路と落とし穴、戦いの方法……
 兄同然に慕う二人とともにいられないことを公子は悲しんだが、身につけた剣を撫で、
もう大人なのだからと自らに言いきかせた。辛いときにはいつも母がいて、やさしい声と
手で涙を拭ってくれた。
 そして二人の従者たちは、将来、公子が王たるときに備えて、ますます魔術の研鑽に励
んだ。気がつけば彼らは、無から有を生み出す究極の禁術──悪魔精錬術をさえ、その身
につけるようになっていた。自らの魔力を結晶させ、そこからまったく新しい生き物を造
り出すこの禁術は、闇の貴族の中でもごく限られた者しか使えず、しかも、生み出すばか
りかその生き物を成長させ、はるかに強力に進化させるなどという技を使えるようになっ
たのは、闇と人の二つの世界を通じても、この二人しかいなかった。
 二人はいつしか、ほかの貴族たちを押しのけて魔王の側近となり、二十歳にも満たない
身ながら、その双の腕として働くようになっていた。兄同然の二人が父に信任されている
のを見て、公子はよろこんだ。
「私も父上のように立派な王になるから、二人とも私にも変わらず仕えてほしい」と無邪
気に公子は頼み、実直なヘクターは感極まって幼い主を抱きしめた。
「もちろんです、若君はいつでも俺のご主人です。いつまでも、俺はあなたに心を込めて
お仕えします」
 アイザックはいくぶんさめた目でこれを見守っていたが、公子の明るい目を向けられる
と、瞳をなごませ、胸に手をあてて軽く礼をすることで返事に代えた。


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