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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

79 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/13 :2011/03/28(月) 00:22:40


 やがて公子は十歳になった。父たる王は息子を正式に騎士として叙任し、成人たること
を認める儀式を執り行った。彼がまだ人間であったころ、息子を持つことを夢見ていたこ
ろに、思い描いていた式典が華麗に繰り広げられた。
 城の玉座の間の一角には一時瘴気を追いはらうための徹底的な結界をほどこした観覧席
が設けられ、人である妃が式典に列席できるように、特別な配慮が払われた。同様に式典
に出席した闇の貴族たちにとっては憤懣の種だったが、この人間の女性にどれだけ王が愛
着を抱いているか、またその身にいかなる形であろうと非難や攻撃を浴びせたものがどの
ような目にあうか知りつくしていたので、不満は態度に出さず、王妃として、また公子の
母として彼女が粛々と席につくのを、貴族らしい鷹揚な慇懃さで迎えた。
 十歳の公子はすらりとして美しく、しなやかな若木のように高く頭を上げて頬を上気さ
せていた。母の見守る前で、玉座にかけた父の前に跪き、剣を肩に触れられながら、誓い
の言葉を澄んだ声で述べた。父は儀式に使った剣を鞘に収め、騎士の最初の佩剣として、
また成人を迎えた子への父母からの贈り物として、その場で息子に与えた。
 その剣こそ、かつて彼が人であったころ、妻であった女性のもとに自らの代わりとして
遺した剣であり、その血を引いた現在の妻の守り刀でもあった。剣は長い時間を経て幾人
もの人々の手を過ぎ、もとの持ち主の息子の手に戻った。
 十歳の公子にとってその長剣はまだ少し長すぎ、佩くと鞘の先端が床に届くほどだった
が、父母の心のこもった贈り物を受けた少年は成人を認められた誇らしさと喜びに目を輝
かせ、着せかけられた長衣をさすっていた。身につけるにはまだ大きい鎧や盾も剣に会わ
せた意匠のものが造られ、同じく贈り物として、玉座の間の片隅に安置されていた。また
城の周囲に住む村人たちからも、救い主であり寛大な支配者である王の子息の成人に際し
て、心づくしのパイや菓子、花、素朴な彫刻や刺繍が山と捧げられていた。
 この場で同時に、公子の二人の従者の成人の儀も行われた。それぞれ十三歳と十四歳に
なっていた彼らは、正式に闇の宮廷での地位を認められ、人間でありながら王のかたわら
で今後も魔術の奥義を究めることを承認された。これもまた列席した貴族たちにとっては
不快のもとだったが、王手ずから教育したこの二人が、人間としては驚嘆すべき魔力を持
つに至っていること、闇の者でさえ手の届くもののほとんどないような高度な魔術でさえ
使いこなすようになっていることを考えると、表立って文句の言える者はなかった。


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