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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

76 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/10 :2011/03/28(月) 00:20:57
 そしてこの少年がようやく起き上がれるほどになったころ、また新たな訪問者があっ
た。
 これは兄と妹の二人連れで、忘れ去られた古代の呪法を使い、闇の城の存在する次元へ
の扉を開いて、やってきたのだった。兄は燃えるような赤毛と刺すように鋭い瞳をした少
年、妹は、怯えた顔のまわりに明るい金髪を垂らして、心細げに兄の服の裾を握ってい
た。
 少年は闇の王の前で怖れげもなく名を名乗り、自分たちは太古から連綿と繋がる魔力を
継承する一族の、その生き残りだと告げた。
 一族はかつては人々の中に生きていたが、しだいに魔物や悪魔の使いとして排斥されは
じめ、山奥の隠れ里に身を隠すようになった。だが、ついにその里も見つけだされて焼か
れた。生き残ったのは自分と妹二人だけ。もはや人間の世界に、兄妹の生きる場所はな
い。一族に伝わる伝承の中に、闇の世界を支配する王と、その居城への門を開く呪法があ
った。それを使って、自分たちはここへやってきた。どのような条件も受け入れる。どう
か、自分たちをここに受け入れ、魔術と闇の力の修行をさせてほしい。
 これらの闖入者に対して、はじめ王はどのような態度をとるべきか決めかねた。境遇の
違う少年ふたりと少女ひとり、しかしその秘められた魔力には確かなものがある。先に現
れた少年──ヘクターと名乗った──は、生存本能に押されてとはいえ、呪法に頼らず闇
の世界の扉をこじ開け、城を引き寄せるだけの潜在能力を持っている。そしてもう一人─
─アイザック、と胸を張って言った──は、太古から引きつがれてきた強力な魔力の血筋
を確かに受けついでおり、狭い里で何代も重ねて練りあげられてきた魔力の高まりは、赤
毛の少年の燃えるような目に如実に表れている。
 彼らを城のまわりの村に住む人々に交ぜるわけにはいかなかった。彼らはある程度魔法
を受け入れてはいるが、この少年たちは、結局はただの人間でしかない彼らとは根本的に
ちがう存在だ。いずれ外で受けたのと同じ恐怖と疎外が、彼らを外へはじき出すだろう。
 何よりも、野放しにされた魔力ほど危険なものはない。ヘクターとアイザックの持つ力
はまだ未完成で、あやうい均衡で爆発から遠ざけられているだけだった。少しでも扱いを
誤れば、人間というもろい殻は一瞬にしてはじけ飛び、盲目にして貪欲な力の塊が、犠牲
者を捜して世界をさまようことになるだろう。それは人間たちにとっても、また闇を支配
する王たる彼にとっても、避けなければならない事態である。


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