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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

75 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/9 :2011/03/28(月) 00:20:18
 しかしそれは、自分が人の血をすするおぞましい生き物であるということを再確認する
ことでもあった。その苦悩も、妻は察しよく受けとめていた。空になった血の盃を陰鬱な
顔つきで見つめている夫に近づき、その手をとって、彼が血を欲すること自体は何も悪い
ことではないともう一度語ってきかせた。圧政から救われた人々が、どれだけ彼に感謝し
ているかをも。そして村人たちから捧げられたささやかな手仕事の成果や、菓子や花輪を
見せ、紅薔薇と白薔薇を上手に組みあわせて編まれた花冠をも見せた。かぶる者を傷つけ
ないように、薔薇の刺は注意深く削り取られ、茎はしっかりと編まれて凝った網み目で周
囲を飾っていた。妻はそれを夫の額に乗せ、髪を撫でつけた。
「貴方さまは彼らの救い主なのです」と彼女は言った。
「その冠はそのしるし。どうぞ彼らの気持ちを、無駄になさらないでくださいまし」


 そしてまた、時は流れた。銀髪の美しい子供が七歳になろうとするころ、城に新しい来
訪者がたてつづけにやってきた。
 一人はやせ細ってほとんど裸の、今にも息絶えそうな傷ついた少年で、汚れてもつれた
髪の毛はくすんだ銀色だった。背中には鞭で叩かれたあとが縦横に走り、腹にも頭にもは
げしい殴打のあとがいくつもあった。火を押しつけられたらしい火傷痕が脇腹や内股の柔
らかいところに残り、額は割れてまだなまなましい傷が口を開いていた。
 侍女たちの手で城内へ運びこまれ、手当てを受けた彼は、どうしてここへやって来たの
か覚えていないと言った。ここから遠い、ある村で暮らしていた彼は、幼いころから動物
の言葉を理解し、人の思いや先に起こることを見通す不思議な力の持ち主だった。そのた
め、悪魔の子供と怖れられた彼は、小さいころから呵責ない虐待を受け、ついにある日、
住んでいた家に火を放たれて焼かれそうになった。唯一、ずっと彼の味方でいてくれた母
親が、自らを犠牲にして彼を逃がしてくれた。そこから先はよくわからない。ただ苦痛と
悔恨にさいなまれ、自らの運命を呪いながら死を願って歩き回り、力つきて倒れたあと、
この城で手当てされている自分に気がついたのだと。
 城主たる闇の王は、この少年に秘められた生まれつきの巨大な魔力を感じとった。磨き
をかければおそらく、闇の貴族にも匹敵するであろう大きな力に。その力がおそらくこの
城を引き寄せ、招きもしないのに城門を自らのもとに出現させたのだ。生きるために。


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