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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

74 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/8 :2011/03/28(月) 00:19:43
 貴婦人と、その夫である「尊いお方」に、人々は心から感謝した。たとえ血を飲むこと
が必要であろうと、支配者であるその王は彼らを生かし、外界の圧政から救い出してくれ
たのだ。彼らは血のほかにも、作った作物からささやかな献上品を捧げた。素朴な焼き菓
子や刺繍をした毛織物、木ぎれから刻んだ子を抱く貴婦人の像。子供たちは野に咲く花を
集めて花束や花輪を作り、やってきた貴婦人にわれがちに投げかけた。貴婦人は笑って子
供たちを撫でてキスし、いい子ねと話しかけて、赤い頬をもっと赤くさせた。村のあちこ
ちに薔薇の生け垣ができ、四季を問わず咲き乱れた。貴婦人を表す白薔薇と、そして、そ
の夫である血の王を示す紅薔薇が、常に並んで植えられていた。


 妻がしいたげられた人間たちを救い、彼らから血を受けとっていることを、むろん王は
知っていた。その相談を持ちかけられたとき、彼は反対した。反対したというより、拒否
したのだった。人の血をすすることは、彼にとっていまや恥ずべき所行となっていた。裏
では悲鳴をあげる家畜の血を絞って飲んでいたとしても、せめて妻の前では、何もかわら
ぬ人間のふりをしていたかったのだ。
「でもわたしにはわかります。貴方さまのお苦しみが」と妻は言った。
「恥ずべきは人に害を与え、理不尽な苦痛を与える行為のみです。生きるために糧を必要
とするのは、なんら恥ではありません。わたしたちが食糧として肉や野菜を口にするよう
に、貴方さまは血を必要となさるというだけのこと。もし誰にも害を与えず、納得の上で
血を与えてくれるものがいたとしたら、貴方さまのお苦しみも少しは楽になるでしょう。
どうぞやらせてくださいませ。わたしの主人は、貴方さまでいらっしゃいます。貴方さま
のお許しがなければ、なにひとつ、できないわたしなのです」
 そして彼は妻の懇願を受け入れたのだった。
 妻はしいたげられた人々を集め、城の周囲に住処をあたえて、月に一度、彼らから受け
とった血を夫に届けさせた。息子が生まれて以来、動物の血しか口にしていなかった彼
に、人間の血は確かな活力と、深い満足を与えた。


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