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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

73 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/7 :2011/03/28(月) 00:19:07
 泥棒や強盗、人殺し、詐欺師や奴隷商人などは、いくら望もうともけっして招かれるこ
とはなかった。村人たちが消えてゆくという噂に苛立った領主や、これは悪魔の仕業に違
いないと断じた修道士たちも同様に。彼らは大勢で隊伍を組み、松明と十字架を振りまわ
して声高に聖句を唱え、聖水をまき散らしたが、それはただ森の動物たちを不必要に驚か
せたばかりだった。しまいに、酷使された領主の馬が闇で地面の穴に前脚をひっかけ、乗
り手を地面に放りだした。これに驚いた修道士たちの驢馬がいっせいに走りだし、木に突
進して修道士たちのつるつるした剃髪をもう少しで割りそうになったところで、捜索は中
断された。
 消えた人々はだれ一人、その後姿を現すことはなかった。村長たちは彼らを死人として
扱うことに決めた。彼らは森の獣か、さもなくば魔物に喰われたのだ。ほかにどう考えよ
うがあっただろう?

 闇の城のまわりに、小さな、あたらしい集落が生まれはじめていた。家々はどれも質素
だが快適にしつらえられ、そばには住むものの人数に見合った小さな畑も添えられてい
た。精霊界と人界の境界におかれたそこは、精霊の見える人間なら見ることができただろ
うが、入るには、そこの女主人の許しがなければけっして足を踏みいれられなかった。貴
族や修道士などは言うまでもない。はじめは数人だった住人の数は、少しずつ増えていっ
た。
 彼らの熱烈な賛仰の対象は、自分たちを救ってこの地に迎え入れてくれた貴婦人その人
だった。彼女は彼らにとって、何もしてくれない聖堂の冷たい像よりもはっきりとした存
在を持ち、しばしば村の小径を歩いては、われがちに出てきてひと目でも救い主の姿を見
ようとする村人たちにやさしく声をかけ、手をとり、困ったことがないかどうか問いかけ
た。
 唯一の条件として提示された、月に一度、杯いっぱいの血を差しだすという約束は、肉
どころか骨の髄まで搾り取っていく外の世界の統治者たちとくらべれば、天国のようなも
のだった。人々はくじ引きで順番を決め、当番にあたった者は誇らしい気持ちで手首を傷
つけて血をため、貴婦人にささげた。いくらか悲しげに微笑み、傷ついた肌をさすって丁
寧な感謝の言葉を口にした。傷に塗るようにと渡された軟膏はさわやかな香草の香りがし
た。


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