したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

69 古歌-イニシエウタ-【四ノ歌】14/3 :2011/03/28(月) 00:16:49
 そして夜になれば、黒衣の長い裾を引いて父がやってきた。精霊界には人界における意
味での夜は存在しなかったが、父の吸血鬼としての性質は、人界の太陽の存在に影響を受
けずにはいられないのだった。誰にも告げられることはなくとも、子供はそのことを察し
ていた。父から受けついだ、吸血鬼の血が語ったのかもしれない。夜しか自分たちのもと
へ来られないことを、父が悲しんでいることも知っていた。そこで子供は飛びつくように
して父を迎え、その日にあった楽しみ事をすべて報告するのだった。母に教わった薬草の
知識や、爽やかな森の空気や、薔薇に囲まれた午後の茶会や、小妖精たちにきちんと行儀
よく食べるように説教してやったことなどを。すると父は蒼白な顔にかすかな笑みを浮か
べ、大きな手で髪を撫でてくれるのだった。口数の少ない父ではあったが、母と同じく、
心から自分を愛してくれていることを、本能的に子供は悟っていた。


 そして同じころ、領主の暴政と、狭量な聖職者たちの貪欲に苦しみ続けていた村のひと
びとに、不思議な噂が拡がりはじめていた。
 話の中で、その男はあまりにも追いつめられ、ついには家の中には麦粒ひとつ、赤ん坊
に飲ませる水一滴すらなくなってしまったため(井戸の使用には税金がかけられ、使用量
は厳密に役人によって量られていた)、絶望の極に達し、このような人生を続けるなら森
の魔物に喰われた方がましだと考えてただ一人、夜の森に入った。明かりもないまま、月
明かりに照らされた木立を抜けて歩いていくと、しだいに木々は密になり、闇の天蓋のよ
うに空を覆った。しかし奇妙なことに足もとの道だけは彼を導くように蒼い光を放ちつづ
けていた。心をなだめるようなその光に導かれて歩きつづけていくと、行く手に、鋼鉄と
黒い石でできた巨大な城門が、霧と木々の間から姿を現した。門は夜の中でさらに昏く、
陰鬱で、影と闇から編まれているように見えた。その後ろに控えた城の影はさらなる威容
を誇り、岩の巨人のような輪郭はいくら見あげても天守のありかが目に入らないほどだっ
た。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOX(DVD付) / SMD



掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板