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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

56 古歌-イニシエウタ-【二ノ歌】18/17 :2010/07/12(月) 22:34:51
 ──今いちど考え直されよ、主。後悔なさるのは主となろう。
「汝の陰気くさい顔にも言いぐさにも飽き飽きだ、〈死〉よ。あちらへ行け。余は余が決
めたように事を運ぶのだ。汝は従者であり、主が余であることを忘れるな」
〈死〉は消え失せ、その後、しばらくは姿を現さなかった。
 婚礼は暗い城の中ではなく、花嫁の住まう精霊界の庭で行われた。純白に真珠と金剛石
を飾った花嫁は、朝露に揺れる咲きそめたばかりの白百合のようであった。またかたわら
に寄りそう花婿たる王は、黒と金に、血の紅に燃える紅玉を飾っていた。
 これほど対照的でありながら、まるではじめから一対であったかのように似つかわしい
組み合わせであった。介添えを務める精霊の侍女たちは口々にほめそやし、列席を許され
た数少ない闇の貴族たちでさえ、人間の花嫁の汚れない美しさに圧倒された。小妖精たち
は飛びまわって花びらをまき散らし、花嫁と花婿の進む先に薔薇色の道を造った。
 神の前で誓う人間のそれとはちがって、この不可思議な婚姻はただ双方の誓いと口づけ
のみがしるしであった。問いかけがあり、答えがあった。指輪のかわりに、ひとふりの剣
が取り交わされた。それはかつてある騎士のものであり、妻の身の護りとして託されたも
のだった。子孫に伝えられた剣はいまその本来の持ち主のもとに戻り、再び、花嫁の手に
渡された。新たな妻の護りとして、新しく結ばれる絆の証として。夫から渡された剣を両
手に受けて、花嫁は嬉しげに剣を抱いた。
 闇の王は数百年前の人間の青年に戻ったように、ふるえる指先で花嫁の面紗をあげた。
小さな白い顔が微笑みかけた。うすく上気した頬と、夏空の色の瞳が見つめていた。
 王は身をかがめ、ようやく取りもどした愛する花嫁に、想いをこめて口づけた。


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