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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

44 古歌-イニシエウタ-【二ノ歌】6/17 :2010/07/12(月) 22:27:51
「はい。命をお助けくださった上、これほどまでにいろいろとしていただいたのに、わた
しがわがままを言うせいで、感謝を知らぬ不届き者だと思っていらっしゃるのではないか
と思っていました。そうではないのですか?」
「余が?」
 痴呆のように彼はくり返した。よく見れば、以前に見たときより娘は血色がよくなり、
痩せた身体に女らしい曲線があらわれているようであった。人間の世界にいるときには、
ろくに食物すら与えられなかったのであろう。ふっくらとした頬にほんのりと赤みがさし
て、咲きそめた薔薇のつぼみのようであった。
「そなたが何もほしがらぬと聞いてきた」
 何をいってよいかもわからぬまま、彼はつづけた。
「与えた着物に袖を通さぬとも、宝石にも黄金にも興味を示さぬとも。余には、ほかにど
うしてよいかわからぬ。そなたは、いったい余に何を望むのだ」
「望むなどと」
 言われた娘のほうが驚いているようだった。
「もはや亡いものと思っていた命をお救いいただいた上に、この上何を望むことがござい
ましょう。このように立派な住まいに、楽しいお友だちやかわいい妖精たちと毎日暮らさ
せていただいて。人里にいたころには、このような暮らしなど想像したこともございませ
んでした。他に何を望むものがありましょう」
「衣装は気に入らぬか。宝石は。女というのはああいうものが好きではないのか」
「美しいものだとは存じます。人間の世界ではきっと、とても珍重されるものなのでござ
いましょうね。けれども、わたしはそのような着物に慣れておりませんし、着てもきっ
と、無様なところをお見せするだけです。宝石も、黄金も、同じこと。わたしはこの身を
覆うこの衣一枚でよいのです。これは軽くて動きやすくて、手入れもかんたんです。あの
すばらしい衣装の数々は、一人では着ることも脱ぐこともできません」
「そのために侍女がいるのだ。この者たちに申しつければよい」
「あら、わたしは子供ではありません! 他人の手で着物を着せてもらうには、もう大き
くなりすぎました」


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