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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

37 古歌-イニシエウタ-【一ノ歌】6/7 :2010/06/23(水) 23:03:05
 エリザベータとエリザベート。おお、そうとも、自分もまた妻をしばしばリサと呼んで
いた。幼いときから婚約の絆で結ばれていた二人は、たがいを子供のように愛称で呼びあ
うのを好んだ。それもまた愛のあかしの一つであった。聖地へむかって出立する朝も、彼
女は、おそらく感じていたであろう不安と寂しさを押しかくし、護り刀を抱いて、明るく
笑って接吻したのであった。二度と夫の手を取ることもなく、夫の接吻を受けることもな
いのだと知るよしもなく。
 ──たとえ魂が同じものであろうと、人は人。
〈死〉は骨ばかりの顎を鳴らして言った。
 ──かの娘がかつて主の妻であったとしても、その記憶を娘はもたぬ。人の記憶はもろ
い、わが鎌に一度かかったならば、前世のことなどまず憶えてはおらぬ。
「知っていたのか。あの娘がわが妻の魂を持つと」
 ──われは〈死〉。人の魂を刈り取るもの。魂の色を見分けるはわが力の内にて。
「たわけ」
 叫んで、彼は片手をうち振った。〈死〉は霧のように手応えなくあとずさった。
「余が何ゆえ汝と契約したか、判るか、〈死〉」
 ──われ、〈死〉を生み、地上に下した神に叛逆せんがために。
 いんいんとこだまする声で〈死〉は答えた。
 ──われを手の内に置きて〈死〉を否定し、わが身を神の意図に逆らう記念碑として、
黒い炎のごとく、地上にあって永遠に燃え続けるために。
「そうだ、それゆえに、余は汝を捉え、抑えつけ、抵抗できぬ術と交換条件で、わが足下
に跪かせた……契約により、汝はいかなることがあろうと、余に手出しはできぬ。余が命
令すれば従わずにはいられぬ。余は〈死〉を支配するものであり、汝の主だ。そのために
余は、わが妻といまだ生まれぬ子をその鎌にかけた汝をわがしもべとした、しかし」
 拳を固めて、玉座のひじ掛けをつよく打った。


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