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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

26 Rhapsody in Blood 〜朔〜 3/6 :2008/04/05(土) 17:03:28
「そもそも人間のままにしていたのが間違いだったと、今にして思う」
 血の気のない白い手が伸びて頬に触れられた瞬間、身が竦む。その冷たさにだけではな
く、身に纏う殺気にも似た憎悪とはあまりにかけ離れた優しさに恐怖を覚えて。まるで壊
れ物に触れるかのように、冷え切った手がそっと頬を撫でていく。
「闇の眷属にしておれば、私の目の届かぬところで死なせることはなかった」
 もう片方の手が、肩に置かれた。頬に触れていた手は首筋を辿り、襟元の飾り結びをほ
どいて開く。
 アドリアンは誰に教わるわけでもなく本能として、獲物の抵抗を封じる魔力が身の内に
備わっていることを知っていた。それが父から受け継いだものであることは疑いようもな
い。今、間近に父の目を見ながら、自分は既にその魔力に捕らわれているのかもしれない
と思った。先刻、逃げてはいけないと思ったことさえ、あるいは自分の意志ではなかった
のかもしれない。
 父が何をしようとしているのか、ここまでされれば嫌でもわかる。
 怖くないわけではない。それがどれほど背徳に満ちた行為かも知っていて、それでもな
お振り払って逃れようとは思えないのだ。
「お前はあまりにリサに似過ぎている。人に甘いところなどは特に」
 首周りにまとわりつく髪を父の手が背に流した。首筋を曝されただけなのに、まるで裸
にされたかのように心許ない。
「人間の血がそうさせるのか……ならばその血を、全て抜いてやろう」
 首筋を辿りつつ後ろに回された手が襟足を撫でるように軽く掴み、髪を引かれる。顎が
上がり、自然と首を曝す姿勢を強いられた。
 無防備に曝されたそこに父の唇が寄せられていくのを、ただ見ていることしかできない。
あまりの不安と恐怖で、震える吐息が無様に漏れるのを押さえることもできなかった。
 それに気づいたのだろう父が、わずかに視線を上げる。
「案ずるな。何も恐れることはない。私に任せて、お前はただ全てを受け入れていればよ
い」
 再び下に向かう父を、もう見ているのも辛くて目を閉じる。
 冷たい唇を首筋に押し当てられて震えた身体を、力強い腕に抱き竦められた。
「お前に、闇に生きる者の愛し方を、教えてやろう」
 耳元で囁かれた声は、夢見るほどに甘やかで優しく、一瞬、不安も恐怖も忘れさせる。
 張りつめていた力を抜いて身を任せたその時を逃さず、父の牙は容赦なく突き立てられ
た。


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