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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

21 若百合(J)×アノレ2/3 :2007/01/16(火) 21:28:24
 ……光がさした。
 白い空虚の中に、一筋の、銀色の光が射し込んできた。
 彼はまばたき、自分に、目があったことに気がついた。まぶたがあり、顔があって、
顔には頬があり、その頬に、ひやりと柔らかい銀色の月光が流れ落ちていた。
 夢の中の月が、自分を見下ろしていた。
 彼は口を開けた。
 何かが喉のすぐ下まで上がってきて、つかむ前に消滅した。苦痛と、それに倍する
どうしようもない胸の痛みが突き刺さってきて、彼は思わずうめき声をあげた。
「……動かない方がいい」
 ごく低い声で、月は言った。その髪と同じく、やわらかく、ひやりとした、透き通る
ような銀色の声だった。
「お前はひどい傷を負った。命を取り留めたのが奇跡だと言っていい。自分の名はわか
るか? 言ってみろ」
「――……」
 もう一度口を開けようとしたが、声は出なかった。彼の中には空虚しかなく、答えに
なるような何物も、そこには残っていなかった。
「――わ、から、ない」
 ようやく、そう言った。
 月の白い顔に、かすかな翳が走ったようだった。
「本当に、わからないのか?」
 しばしの間をおいて、思い切ったように月は言った。
「――私の、名も?」
 わかる、と叫びたかった。わかる、あんたは月だ、夢の中でずっと俺のそばにいた。
 だがそれもまた、言葉になる前にこなごなにくだけて白い闇の中にのまれていった。
彼はただ弱々しく首を振った。
「……そうか」


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