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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

1 名無しさん@うまい肉いっぱい :2006/05/31(水) 19:18:01
こちらはドラキュラ&キャッスルヴァニアシリーズ全般のゲーム設定に準拠したネタスレです。
原作ゲーム内の設定に添った小ネタ・SSはこちらに投下のこと。
基本的に原作準拠ですが、多少の補完や捏造設定は必要ならばアリということで。
根底から違うパラレル設定は、パラレルスレのほうへお願いします。

ただし、パラレルスレと同様、読む側の混乱を避けるために
投下品の最初にはそのネタの設定とカプ傾向、できれば作品名も
明記しておくのを基本ルールとしてお願いいたします。

また、一応小ネタ専門ということで、書くうちに長くなった、または長引きそう、な場合は
スレ立てスレのほうで適宜協議の上、単独スレを立てるかどうか決定してください。

2 名無しさん@うまい肉いっぱい :2006/06/04(日) 22:15:56
に…2ゲトー!(゚∀゚;)
単発スレの言いだしっぺは自分なので恐る恐る書き込みます。

この前白液をやったらジュストの声がリア18歳らしくて可愛かった
なので、ムラムラして書いた。今は後悔している。

・白/夜/の/協/奏/曲 マクツーム×ジュスト
・ジュストがもやしっ子
・ガチホモ臭
・バッドエンドというか何これ?

マクツームは裏なんだか表なんだかよくわからない事に…
まあ、よろしければ暇つぶしにドゾー

3 我ながらこれはひどい 1/3 :2006/06/04(日) 22:17:57
「ならば、俺がその気にさせてやる…行くぞ!!」

 途端、視界は暗転した。

 数瞬後に飛び込んできた光景は、見渡す限り極彩色の四方と、蠕動を続ける壁。
 吐き気を催すのも時間の問題だった。
 思わず目を背ける。
 それはほんの一瞬の事ではあったが、今や人外となった"彼"がその隙を見逃す筈もない。

「──!」
 全身に鋭い痛みが走り、あっけないほど簡単に武器は奪われた。
 敵を排除する為のそれは皮肉にも持ち主を拘束するのに使われた。
 力の限り腕を動かしてみるがビクともしない。
(ドラキュラの力とはこれ程の物なのか…)
 そんな事を考えている間に、勝ち誇った声が聞こえてきた。
「フ…ベルモンドが聞いて呆れるな…やはりお前など俺の敵ではないな」
 言いながら、マクシームはジュストのベルトを取り外しにかかった。
 予想外の行動にうろたえる暇もない。
「…? 何のつもりだ…」
「決まっているだろう。この状況で、」
 低い声が間近で耳に注ぎ込まれる。
「わからない、なんて事は無いだろうが、ジュスト君?」
 思わず震えが走った。
 平静を保とうとするも、何か得体の知れない恐怖と混乱で顔が強張る。
 ベルトとパンツが下ろされ、下着に手がかけられた時、混乱は確信となり更に絶望へと変わった。
「…こんなことはやめろ、マクシーム。
辱めたいのならいくらでも方法はあるはずだろう」
 半ば無駄とは知りつつもそう口にしてみる。

 が、案の定問いかけは無視される。
 あっさりと下着は下ろされ、ジュストのそれは外気に晒された。

4 我ながらこれはひどい 2/3 :2006/06/04(日) 22:19:01
「マクシーム…もうやめろ、それ以上おかしな真似をするのは…」
 いよいよそこに手がかかり、包み込まれる。
 と、顔が近づいてきて今度は生暖かい感触が襲った。
 思わずぎゅっと眼を瞑る。
 抵抗しようにも雁字搦めにされた身体は全く言う事を聞いてくれない。

「そうそう無駄な抵抗をするな。噛み千切られたいのか?」
──本気だ。
 奴は殺そうと思えばいつでも自分を殺せるのだ。
 まるで、猫が獲物を捕まえては弄ぶ様に。
 ジュストは自分が狩られる立場である事をたった今思い知った。
 
 自覚すると同時に、みるみるうちに力が抜けていく。
「…そう、いい子だ。せいぜい楽しむ事だな…」
 そう言って、手の中のそれを激しく擦るように扱い始める。
 少しの驚嘆と、久しく忘れかけていた悦楽に自然と声が漏れた。

 もちろん自分でやった事が無い訳ではないが、それが他人の手によって行われている。
 それも、親友であった男に。
 得も言われぬ羞恥と恐怖とがない交ぜになり、白い頬が朱に染まる。
 必死で声を押し殺す事が、彼に出来た唯一のことだった。
 舌で先端をを執拗に責められ、やがて限界が近づく。
「ぅあ…」
 耐え切れなかった声と共にジュストは達した。
 びくん、と大きく痙攣するように震え、白濁を吐き出す。
 息の整わないジュストを尻目に、マクシームは次の手順に移行する。

「マクシーム…何を…」
 既に熱く猛った自身を取り出し、手のひらに付いたジュストのものを塗りつける。         キモスw
 そのまま慣らしてもいない奥を無理矢理に押し進んだ。
「……ひ…ッ!」
 規格外の挿入により引き裂かれる痛みに、生理的な涙が止まらなくなる。
 マクシームはそんな事にはお構いなしに、好き勝手に動いている。
 突き動かされる度に痛みが走り、
 血と体液が混ざり合う粘着質な音が絶え間なく聞こえる。
 ジュストはそれを虚ろな目で、もはや他人事の様に観察していた。

5 我ながらこれはひどい 3/3 :2006/06/04(日) 22:19:56
 もう一度だけ、ありえない期待をこめて目の前の顔を見上げる。
 
 今ここで行われている事は何かの冗談で、リディーが攫われたのも冗談で。
 また3人で過ごす日々が訪れるのだと、今すぐ言って欲しい。
 1も2も無く信じるだろう。
 だが、そこにあるのは紛れもなく親友の顔なのに、彼はもういないのだ。
 それを認識せざるを得ない状況に、いたたまれない気持ちで一杯になる。
 また、涙がこぼれた。

──唐突に動きが止まり、小さな呻き声が聞こえた。
 生暖かいものが中に放出される感覚に、ぞくりと戦慄が走る。

「…シーム…マクシーム、すまない…」
 組み敷かれた身体から、ふいに掠れた声が響いた。
「──何故謝る?」
 心底驚いた様な声が返ってくる。
「俺、は、お前の苦しみに、気付く事が…できなかった…
ずっと一緒にいたつもりでも、俺はお前の事を何も…わかっていなかった…許して欲しい。
俺に出来る事なら、何でも、償おう…だからもう、こんな」
「こんなふざけた真似はやめろと?」
「…マクシーム、違…」
 目の前の相手は無言で口の端を吊り上げ、初めて口付けてきた。
 強引に舌を絡められ、自分が出したものの苦い味を僅かに感じた。
 紡ぎかけた言葉は消され、再び行為は再開される。

 続けられるうちに、初めは苦痛でしかなかった筈のそれが段々と
 微かに、しかしはっきりと、快楽の形を示そうとしていった。
 殆ど絶望的な気分でそれを自覚する。
 
 熱い迸りを下腹部の中と外で感じた。
 

 永遠とも思われる時間が過ぎた。
 いつ果てるとも知れない行為。もう何回繰り返されたのかも判らない

 ジュストの身体は心労と痛みでボロボロだった。
 視線は宙を舞い、四肢からは疾うに力が抜け落ちている。
 その様子をふと確認してから、マクシームは満足気に呟いた。
 最も、声が聞こえているのかも不確かだが。

「…俺の物だ。あの女も貴様もな。償うと言うなら、全てを捧げてもらおう」
 直後、首筋に激痛が走ったが、もう抵抗する様子もない。
 体中が耐え切れないほど熱く疼く。
 音を立てて啜られる血と入れ替わりに、諦めにも似た虚無感が流れ込んで来た。


 再び、視界は暗転した。

6 我ながらこれはひどい :2006/06/04(日) 22:21:02
意味不明ですが終わります。支離滅裂wwっうぇwwwww
今の自分にぴったりなAAはこれですかね… m9(^Д^)プギャーッ

ごめんね。真面目な?ドジンSS初めて書いたから、厨でごめんね。

7 名無しさん@うまい肉いっぱい :2006/11/06(月) 22:29:39
規制に巻き込まれて板に書き込めないのでこっちにカキコ。
ついでに小ネタも投下。
板から出たネタなので、本編に沿ってるとは必ずしも言えないかも
しれないんだけどパラレル学園とも言えないのでここに。
ホスがわりにどぞ。

>>605
家具セット&フィギュアいいなあ、コンプしそう、つーかする絶対する
フィギュアはもちろん全関節可動&お洋服お着替え可能なんだよな?w
家具はクラシカル&ゴシック、重厚かつ優雅なデザインで。
個人的には天蓋ベッドとラノレアノレはデフォwとして
薔薇園で愛らしく語り合う百合カポゥなヨアアノレヨアが(*´Д`)ホスィ
このセットはフィギュアちょい幼めデザインきぼんw
幼な妻なアノレたん12、3歳くらいで是非

>>606
クセのある味のカレーにはなんとなくヂュストが描いてありそうな気がするw
うっかり食うとちょい危険なロシアンカリールーレット。
シモンは超肉肉しい「うまいにく」たっぷりの特製漢のビーフカリー。
あとベノレモンドじゃないけどおこちゃま用特甘カレーにはソマたんww

前にアノレ似のカンコックドールの写真貼ってたレスがあったなあ。
スーパードノレフィーのカスタムでアノレ作ってみたい…いくらかかるか考えるとガクブルものだけどw
絵師さんのAAキャラとか三頭身キャラとかなら、ピンキーの改造で
そっくりに作れそうな感じなんだけど技術のない自分がにくい…orz

そんでフィギュアの同梱してあるパンフ(?)にSSとか書いてあるといいな

8 テーブル椅子セットSS :2006/11/06(月) 22:30:29
★『テーブル椅子セット&ラノレフ・アノレフィギュア』
 うらうらと暖かい春の午後…
 ベノレモンド家の図書室は大きな窓から入ってくるそよ風と陽光でいっぱい。
 窓際にたたずんで大きな書物をめくるアノレカードの横顔にぼんやりと見入るラノレフ。
 さわやかな初夏の風にさらさらとなびく銀髪を見ているうちに、ついつい手が
止まってしまいます。
「…ラノレフ?」
「(ぎく)な、なんだ!?」
 なんだか声が裏返っています。
「さっきから手が動いていないようだが。ペンの音がしない」
「そそそそそんなことはないぞ!? ちゃんと書いてる、ただちょっと綴りのはっきり
しないところが」
「そうか? どれだ。見せてみろ」
 髪をなびかせするりと近づいてくるアノレカード。机にひじをつき、手もとをのぞき
込むと、ふわりといい匂いがラノレフの鼻をくすぐります。
「どれがわからない? 言ってみろ」
「…あ、あの、そのだな…(ちょ、顔近い! 顔近いっておまえ!)」
 ――どうやら勉強に気持ちが戻るのはもう少し先の若当主なようです。

9 城主の椅子セットSS :2006/11/06(月) 22:31:06
『城主の椅子&リヒ太・アノレフィギュア』
 闇に閉ざされた魔の城の玉座の間…
「あ……ッ、ん、く……ッ」
「クク……どうした? さっきまでとはずいぶん様子が違うようだが……?」
「黙れ…ッ、あっ」
「フ……ドラキュラの息子が聞いて呆れる。なんだこの様は、ここを…こんなにして」
「違…っ、放せ……っ、う、あッ」
 形のいい耳朶に立てられる歯にしなやかな肢体がびくりとのけぞる。
 華麗な貴公子のよそおいはずたずたに切り裂かれて血に染まり、その下の白い胸と
引き締まった腰を、ほんのりと淡く色づいた乳首をのぞかせている。
 巨大な玉座に掛けた男は、膝の上で身を震わせる獲物をゆっくりと堪能するべく爪を
研ぐ。声を漏らすまいと噛みしめた唇に血がにじむのを愛しげに舐めとり、そして
かたく閉じ合わされた脚のあいだの、秘め隠された部分に男の無骨な指先が侵入して
いく…
「あ、あ…ッ、いやだ……ッ」
 懸命に抗っても、痛めつけられた身体に抵抗するだけの気力はもはや残っていない。
 城主の唇に浮かぶ残酷な笑み。
 すすり泣きにも似たかすれた喘ぎ声が暗い石天井に反響する。
 ここは闇の底、影と夜の支配する、永遠の責め苦と快楽の部屋……

10 薔薇園のベンチセットSS :2006/11/06(月) 22:31:55
『薔薇園のベンチ&アノレ・ヨアフィギュア』
「…本当にいいのか?こんなところにいて」
「バカだなあ、君は。ヴァノレターのお遊びにいつまでも真正直につきあってたら、
こっちの身が保たないよ?」
 だって、と不思議そうに首をかしげる長い銀髪の少年。
 怒ったようにバラ色の唇をとがらせている少年は、同じ銀髪ですが肩のところで
切りそろえています。
 どちらもまるでお人形のような、白磁の肌にきらめく瞳。
 年のころはまだ十二、三歳、まだ伸びきっていない手足は子鹿のようにすんなりと
細くしなやかで形よく、花咲くバラ園の茂みのかげ、小さな石造りのベンチで、
おそろいのシルクのブラウスを着て兄弟のように身を寄せあっています。
「…でも、私はヴァノレターの言うことはなんでも聞くようにと言われている」
「だから、君はバカだっていうんだよ。あんなエロ親父のことなんか、言葉半分に
聞いておけばいいんだってば。だいたい、君が来てから僕のすることが増えてしょうが
ないんだから、少しは感謝しておくれよね。君ときたらほんとになんにも知らない
箱入りのお子様で、お坊ちゃまもいいところで、手がかかるったらないんだから」
「…………。」
「あーっ! な、泣くな、なんで泣くんだよまったく! これだからもう、箱入りの
お子さまは困るんだよね、ほらハンカチ!」
 ……赤白さまざまのバラが咲き誇るバラ園で、二人の小さなバラは、なんだかんだ
いって仲良しなようです。

11 名無しさん@うまい肉いっぱい :2007/01/04(木) 03:22:36
明けましておめでとうございます。もう日付が変わって三が日も終わりましたが。
 棚姐さんのラルアルが大団円を迎え、咽び泣きながら「最高の萌えを有難う御座いました、
本当にお疲れ様でした」と叫びつつ新年早々久しぶりに携帯ゲー、数字板以外のドラキュラ
スレを巡っていると、なりきりスレにてあらぬ電波をキャッチしてしまいました。
ズレズレのAAで読み取りにくかったけど、数年前に自分が歴史資料片手に妄想していた
ネタと似たようなこと考えている人はいるんだなぁと、テラウフフしながら火がついちまった
ジャマイカ! どうしてくれる! ウワァァァンヽ(`Д´)ノ となりながらやっちまった。
 確実に長編になるので、先ずは手始めに原作準拠で行ってみようかと思い投稿しました

サークル/ オブ/ ザ/ムーン
・ヒュー→ネイサン
・展望閣のヒュー戦後のセリフから
・微ホモ臭。自分でもよく判らない。
・相変わらずネイサンは人の話を聞いてない。
・オリジナルのセリフを数箇所差し込んである。
・ヒューが少々壊れている(読み様によってはそれ以上かも)

いやもうね、よくネイサンが努力型の主人公とか言われてるけど、その彼を凌駕するために
はヒューのほうも結構努力していたんじゃないかなと思って。しかもその努力が報われずに
悶々としているにも関わらず、プライドか高いせいで誰にも相談できずに自滅して行く様が
何とも……救えるのは君だけだネイサン!となってしまう訳で。
 新年早々腐っててごめんなさい。 ではドゾー

12 無題(6/1) :2007/01/04(木) 03:26:26
「やめてくれ! お前をこれ以上傷つけたくない! ヒュー!!」
 戦いに疲れた顔で、悪魔城の展望閣に響き渡る悲痛な叫びを上げた青年の目の前には、
己の得物――退魔の聖鞭によって衣服のあらゆる箇所が破れ、その間から夥しい血液を
流した痛々しい姿で膝をつき、己を見つめている彼の兄弟子の姿があった。
「ネイサン? ウウッ、お、俺は…」
――俺は何を……? それに、何故お前はそんな悲しそうな目で俺を見ている? そうか
 妄執に取り付かれた俺は、カーミラに完膚なきまでに打ちのめされた後、ネイサンに対する嫉妬
と言う見苦しい感情と欲望を魔に曝け出してそれから……仮初めの力を手に入れる代わりに
自分の意思を真祖ドラキュラに預けた。何と無様な姿か。
 ネイサンは痛みに顔を歪ませながらも、鋭利な刃物のような切れのある端正な容貌を真っ直ぐ
自分に向けているヒューの姿に、彼の自尊心をこれ以上傷つけたくない一心で、抱き起こそうか
どうか、手を差し伸べるべきか逡巡して動けない自分に苛立ちを感じた。
 そして、自分の魔力が低いばかりに、ラテン語の退魔の祈祷文詠唱だけでは何の効果もなく、
恩義ある師匠の息子を魔の呪縛から解くためとはいえ、彼の体力を削りつつ祈祷文の効果を
上げるために己の得物……
 本来は目の前にいる青年が継承すべき聖鞭で彼を、普通の人間ならとうに骨が折れて、
死んでいるくらいの回数以上に打擲しないと、洗脳が解けなかった己の不甲斐なさに、
改めて、悔しさと涙が込み上げてきた。
 普段の彼なら周りに心配させまいと感情を心の中に押し留めて平気な表情に造るのだが、
疲れから気が緩み、その感情を顕にするかのように目に涙を溜めると、それにつられるように
彼の引き締まった容貌が歪んできた。

13 無題(2/6) :2007/01/04(木) 03:27:22
――こんなに傷ついても「痛い」の一言も、見苦しくのた打ち回る事もしない。
あの聖鞭で数十回も打擲したにも関わらず、だ。
 ヒュー、そこまでの体力と精神を持ち合わせておきながら、お前は何故魔に
取り込まれたりしたんだ? 
「ヒュー……気が付いたのか……?」
 ネイサンは本当に解呪したかしないか判らないが、叫び続けて嗄れた咽喉から
確認のためかどうかも自分で判断できないまま、ただ、声を漏らした。
――声が掠れている。俺と戦っている間、ずっと声を掛けていたのか?
 何と苦しく、今にも泣き出しそうな貌をしている? 俺は何時からお前に
そんな表情をさせていたのか皆目分からない。
 ヒューは泣きそうになって、じっと自分を真摯な眼差しで見詰めている弟弟子――
ネイサンの傷ついた輝きを放っているグレーブルーの瞳を理解出来ずに、辛そうな表情を
しながらも呆と不思議そうな眼差しで仰ぎ見た。
 そして、どうして良いか解からず、だが目の前の弟弟子に対してこれ以上
悲しませたくない気持が先走り、抱き留めて自分が思いつく限りの感謝の言葉を
彼に伝えようと思い手を動かそうとしたが、筋が傷ついているのだろう指先しか、
それでも痛みを伴っているが動かなかった。
「…ありがとう…。聞えたよ、お前の呼ぶ声が」
 動かない躯の替わりに先程までの苦渋に満ちた表情を掻き消し、微かな笑みを湛えた
柔らかい顔付きと、低いながらも緩やかな口調で伝えた。
 まるで罪を償い、総てを赦された罪人のように清々しい心持で。
 それに伴い、一筋の涙がヒューの頬をつたった。彼に、ネイサンに己の愚かな行動を取った
経緯を包み隠さず話し、もう元には戻れないかもしれないが親友として心の声を伝えたい。
そう決意したゆえの涙でもあった。
 今までの自分であればいい年をした男が、己の恥かしい部分を他人に見せるのは
情けない事だと頑なに拒否していた。
 そして、この躯は痛みで動かない。死期を覚悟したがヒューはネイサンに心残りが無いよう、
敢えて気丈に伝えようと思った。

14 無題(3/6) :2007/01/04(木) 03:28:02
「…ヒュー。大丈夫か?」 
 ネイサンは、今まで自分が見たことがないヒューの優しく、どこか悲しみを帯びた
微かな笑みに少々不安を感じながらも、彼の次の言葉を待つつもりで恐る恐る訊いた。
――本当に呪縛は解けたのか? そうでなかったら俺は……師匠には大変申し訳ないが
この土地のしきたりに従い、お前の全身の腱を断ち、心臓にサンザシの杭を打ち込まな
ければならない。俺はこれ以上の解呪の方法を知らない。
 そう思いネイサンは予測がつかない攻撃に備え、全身を硬くして身構えた。
「ネイサン…。俺はお前に嫉妬していた」
「!?」
――ヒュー!? 一体なにを言い出したんだ? 嫉妬? お前が俺に? 能力も知識も
膂力も何もかもが俺より上回っているお前がか? 
 予想外の科白にネイサンは唖然として二の句を継げることができず、目を丸くした。
「親父がお前を認めることで、俺は要らない存在になるのが怖かったんだ」
 そしてヒューは息を呑み、瞼を閉じると切なく呟いた。
「ただ認めて欲しかった…」
――それだけではない。俺はお前にも認めて欲しかった。もっともそれは俺自身の
エゴを伴った感情だが。
 もし、お前が洗脳された俺に負けて倒れたら、問答無用で押し倒して力任せに何度も
唇を奪い、何が起ったか解からず呆然としているであろうお前の顔を尻目に、
卑怯だが痛みで動けなくなっているお前の躯から、衣服をすべて剥ぎ取り、力無く抵抗
しようとしているお前の姿に嗜虐心をそそられながら、前戯も何もせずに無理矢理、
己の欲望をお前に何度も何度もぶちまけ、力尽きて物言わぬ躯になってもなお続けるだろう。
穢れて爛れた思考と感情のままに……
 男の身でありながら、それほどまでに同性であるお前が欲しかった。そして、その思いを
遂げるために絶対的な力が欲しかった。その象徴があの聖鞭であったのに、それをお前が
継承したことで俺は父親から己の努力を否定され、お前を親父に取られた心持がした。
逆にお前に親父を取られたとも思い、お前を愛する気持と独占欲が綯い交ぜになって俺は、
俺より能力も無く簡単に聖鞭を手に入れたお前を、あからさまに見下すようになっていった。
だが、いつも他者のことを思い、一歩引いて優しく見守るお前をずっと愛し、護っていきたかったのは嘘ではない――

15 無題(4/6) :2007/01/04(木) 03:28:40
やはり幾ら包み隠さず話すとは言っても、その想いだけはネイサンに
告げるべきではない。彼が余計混乱するだけだと思ったヒューは言葉を切った。
 と同時に行き所の無い想いは、彼の漆黒の瞳から止め処なく涙をこぼれさせ
赤い絨毯の上に雨のように滴り落ちた。
――聞きたくなかった。力を持っている矜持を誇り、自尊心が高いこの男から、
そんな自虐的な感情を曝け出した言葉なんて。
「もういい…」
 ネイサンはこれ以上、師匠のモーリスの元で一緒に育ってきた親友の痛々しい姿を
見聞きしたくなかった。幼い頃から力強く、その上で人よりも何倍も努力してきた
青年の弱音など。
 そう思うと自然に耳目を閉ざしたい気持になり、ヒューの後悔の念を遮りたい衝動に
駆られた。
 しかし、死を覚悟したヒューはネイサンが聞こうが聞くまいが、総てを言うつもりで続けた。
 己の愚かしい感情のためにこの身は魔道に堕ち、その所為で愛する者の行く手を
遮って時間を取らせてしまった事への後悔と、いまだに己の心の強さを自覚して
いないネイサンに、真祖ドラキュラを倒す事のできる自信と、傷ついた自分の代わりに、
ドラキュラに捕らえられ生贄にされかけている自分の父親を助けてくれと、
どうしても伝えたかったから。
「そんな俺の心の闇を、親父は見抜いていたんだろう。だからお前を…」
「よすんだ」
――それは闇でもなんでもない。人間誰しも持ちえし感情だ。挫折を知らないお前が
陥った感情の罠だ。それを自覚せずただ、己が処理できない感情を闇雲に力で捻じ
伏せようとしたから……心が折れたんだ。師匠は決してお前を見捨てたりしない。
無駄に死なせたくなかったから敢えて力を持たせなかっただけだ。
 力強くネイサンはヒューの自虐的な科白を否定した。しかし、ヒューは今もって弱音を吐いている。

16 無題(5/6) :2007/01/04(木) 03:29:11
やはり幾ら包み隠さず話すとは言っても、その想いだけはネイサンに
告げるべきではない。彼が余計混乱するだけだと思ったヒューは言葉を切った。
 と同時に行き所の無い想いは、彼の漆黒の瞳から止め処なく涙をこぼれさせ
赤い絨毯の上に雨のように滴り落ちた。
――聞きたくなかった。力を持っている矜持を誇り、自尊心が高いこの男から、
そんな自虐的な感情を曝け出した言葉なんて。
「もういい…」
 ネイサンはこれ以上、師匠のモーリスの元で一緒に育ってきた親友の痛々しい姿を
見聞きしたくなかった。幼い頃から力強く、その上で人よりも何倍も努力してきた
青年の弱音など。
 そう思うと自然に耳目を閉ざしたい気持になり、ヒューの後悔の念を遮りたい衝動に
駆られた。
 しかし、死を覚悟したヒューはネイサンが聞こうが聞くまいが、総てを言うつもりで続けた。
 己の愚かしい感情のためにこの身は魔道に堕ち、その所為で愛する者の行く手を
遮って時間を取らせてしまった事への後悔と、いまだに己の心の強さを自覚して
いないネイサンに、真祖ドラキュラを倒す事のできる自信と、傷ついた自分の代わりに、
ドラキュラに捕らえられ生贄にされかけている自分の父親を助けてくれと、
どうしても伝えたかったから。
「そんな俺の心の闇を、親父は見抜いていたんだろう。だからお前を…」
「よすんだ」
――それは闇でもなんでもない。人間誰しも持ちえし感情だ。挫折を知らないお前が
陥った感情の罠だ。それを自覚せずただ、己が処理できない感情を闇雲に力で捻じ
伏せようとしたから……心が折れたんだ。師匠は決してお前を見捨てたりしない。
無駄に死なせたくなかったから敢えて力を持たせなかっただけだ。
 力強くネイサンはヒューの自虐的な科白を否定した。しかし、ヒューは今もって弱音を吐いている。

17 無題(5/6) :2007/01/04(木) 03:30:21
「いいんだ。今では愚かな俺にも親父の選択が正しい事がよく判る」
――ヒュー……俺は今までお前の何を見てきたんだろう? いつものお前なら語気を
強めた口調で「さっさと行け! グズグズするな」と人が戸惑っていようがいまいが、
状況に応じて一瞬で判断し的確な指示を出して俺をいつも護ってくれていたお前が
……こんなにも弱くなるなんて。
「抱き起こそうか?」
 ネイサンは惰弱な精神の持ち主に堕した彼に、手を差し伸べようとした。
余りにも痛々しい姿になった彼を放って置く事が出来なくなり、今度は自分が護ろうと
考えたからだ。
「フッ…。これ以上、俺に恥をかかせるな」 
 しかし、ヒューはそんなネイサンの甘さを見抜くと、共倒れを避けるために敢えて愛する
者の申し出を揶揄した口調で拒絶した。
――それがお前の弱点だ。目の前の悲劇にすぐ対処しようとする。お前の目的はなんだ?
 ヨーロッパの全キリスト者を救うためにその聖鞭を振るうんじゃないのか? 
お前が与えられた使命を果たせ……
「親父を…。師匠の手助けをしてくれ。頼んだぞ」
 そして、儀式の間の扉にかけられている封印を解除するための鍵の在処を教えると、
ヒューは瞳と同じ漆黒の長髪を痛む手で掻き揚げ、いつもの自信に満ちた顔付きに戻って
ネイサンにその顔を向けた。
 ネイサンは今までであれば、「俺が一人で助ける!」とがむしゃらに息巻いて一人で事を
なしていた彼が、他人に事を任せたことに軽い驚きと、何故だか判らないが、いつも自分に
見せる、眩しいくらいの自信溢れる表情に戻った事を嬉しく思い、
「分かった」
 と満面の笑みで答え、鍵のある部屋へと走り去っていった。

18 無題(6/6) :2007/01/04(木) 03:30:56
――これで俺も安心していける。だが簡単には死ねない。
 ネイサンが真祖を打ち倒し、無事に親父を助けるまで俺はひとまず消えるとしよう。
あいつに心配掛けさせたくないから――
 体の痛みはまだあるが、動かせないほどではなくなると、また愛する者を見守り
たいと願い、生きる活力が漲ってきた。
 そしてネイサンが部屋から戻って来るまでには消えたいと思い、ヒューは体の重心が
定まらないながらも歩き始めた。
 だが、何故だか自分でも解らないが違和感を覚え、ふと、展望閣を見回した。
そして奇妙な感覚の原因が、通常ならば一対である筈の玉座が一つしかない事に気付き、
歩みを止めた。
 すると突然、己の知識の中の分厚い本の頁がめくられる様な感覚に陥った。
それからドラキュラに関する事象を紐解き始めると、感慨深く夢想した。
――この城の城主、真祖ドラキュラは最愛の妻を亡くした後、他には娶らず孤閨を
守ったと言われている。貞淑なその彼が何故魔道に堕ちたかは、俺は知らない。
ただ、孤独を自分の物に出来なかったのが罪なら……止そう。ドラキュラが厄災を
振り撒く存在であるのは変わり様の無い事実だ。
 
 ヒューは己を魔道に落とした憎むべき相手に、己の遂げられない孤独な想いを重ね
合せると、うら寂しさが漂う悲しげな面持ちで感傷に浸った。
そして独り、痛む躯を庇い、ネイサンが追って来ないことを確認しながら振り返りつつ、
生きるか死ぬか分からない己の身をあても無く動かすと、魔物が蠢く城内を探索していった――

19 行動も文も痛いよ…。 :2007/01/04(木) 03:42:04
……自分でもヘボン臭が漂っている事は判ってるさ! なおかつ文体も変だ!
でも後戻りは出来ねーぇぇ 緊張のあまり二重投稿してしまう自分アホス
本当にごめんなさい。
でも読んで下さってありがとうございました。
 最後に棚姐さんへ、感謝の意を込めて〆たいと思います。

アルラルの切ない恋情をこれでもかと散りばめた流麗な、
それでいてくどくない心地よい文体と、確実に当時の資料を踏まえた
アイディアに魅せられて、毎回涙した思い出を決して忘れません。
 あなたの描く、どこか仄暗い闇を秘めながらも気高く真摯に生きているアルカード。
力強く愛する者を全身全霊で守り通すラルフ。戦友として男と女の垣根を取り払い、
気丈に面前の敵に立ち向かうサイファ。全てを知りえても決して本質を見極める心を
失わなかったエルンスト。魅力的な彼らは美しく、まるであの時代に生きているような
錯覚さえ覚えました。
 それほどまでにあなたの物語は……筆舌に尽くせないほど素晴しかった。
大袈裟かもしれないけれど、僥倖とはこの為に在るような言葉だと思いました。
本当にお疲れ様でした。

20 若百合(J)×アノレ1/3 :2007/01/16(火) 21:27:46
 白い部屋だった。
 彼の目にはそれしか映っていなかった。白。ただ一色の白。
 ときおり、影のように視界をよぎっていく何者かが見えたような気もしたが、それら
はみな、彼の意識にまでは入り込むことなく、ゆらゆらと揺れながら近づき、遠ざかり、
近づいてはまた離れていった。
 自分は誰なのか、あるいは、何なのか?
 生きているのか、死んでいるのか?
 ベッドの上の「これ」が生物であるのか、そうでないのかすら、彼にはわからなかっ
た。呼吸をし、心臓は動き、血は音もなく血管をめぐっていたが、それらはすべて彼の
知らぬことであり、石が坂を転がるのと、木が風に揺れるのと、ほとんど変わりのない
単なる事実でしかなかった。
 ただ白いだけの、水底のように音のない空間で、まばたきもせず空を見据えながら、
彼はときどき夢を見た。生物でないものが夢を見るならばだが。
 そこで彼は長い鞭を持ち、影の中からわき出てくるさらに昏いものどもと戦い、暗黒
の中を駆け抜けていった。
 そばにはいつも、地上に降りた月のような銀色の姿があった。それはときおり哀しげ
な蒼い瞳で彼を見つめ、また、黙って視線を伏せた。
 夢は、止まったままの彼の時間を奇妙に揺り動かし、見失った魂のどこかに、小さな
ひっかき傷を残した。肉体はこわばったまま動かず、そもそも、存在するのかどうか
あやしかったが、この地上の月を見るたびに、彼の両手は痛みに疼いた。
 何か言わなければならないことが、どうしても、この美しい銀の月に告げなくては
ならないことがあるような気がしたが、それが形を取ることはついになかった。彼は
ただ、無限の白い虚無に、形のない空白として漂っていた。

21 若百合(J)×アノレ2/3 :2007/01/16(火) 21:28:24
 ……光がさした。
 白い空虚の中に、一筋の、銀色の光が射し込んできた。
 彼はまばたき、自分に、目があったことに気がついた。まぶたがあり、顔があって、
顔には頬があり、その頬に、ひやりと柔らかい銀色の月光が流れ落ちていた。
 夢の中の月が、自分を見下ろしていた。
 彼は口を開けた。
 何かが喉のすぐ下まで上がってきて、つかむ前に消滅した。苦痛と、それに倍する
どうしようもない胸の痛みが突き刺さってきて、彼は思わずうめき声をあげた。
「……動かない方がいい」
 ごく低い声で、月は言った。その髪と同じく、やわらかく、ひやりとした、透き通る
ような銀色の声だった。
「お前はひどい傷を負った。命を取り留めたのが奇跡だと言っていい。自分の名はわか
るか? 言ってみろ」
「――……」
 もう一度口を開けようとしたが、声は出なかった。彼の中には空虚しかなく、答えに
なるような何物も、そこには残っていなかった。
「――わ、から、ない」
 ようやく、そう言った。
 月の白い顔に、かすかな翳が走ったようだった。
「本当に、わからないのか?」
 しばしの間をおいて、思い切ったように月は言った。
「――私の、名も?」
 わかる、と叫びたかった。わかる、あんたは月だ、夢の中でずっと俺のそばにいた。
 だがそれもまた、言葉になる前にこなごなにくだけて白い闇の中にのまれていった。
彼はただ弱々しく首を振った。
「……そうか」

22 若百合(J)×アノレ3/3 :2007/01/16(火) 21:28:56
 銀の月はつと視線を外した。
 長い髪からのぞく肩がかすかに震えているように思えて、彼は思わず手を伸ばそうと
したが、やはり身体は動かないままだった。全身が包帯に包まれ、ベッドに縛りつけ
られていることに、彼は突然気がついた。
 ここは病院だ。俺は生きている。そして怪我をしている。
 だが、何故だ?
 ――そして、俺は誰だ?
「あんた……は……誰だ?」
 ようやく声を絞り出して、彼は言った。
 銀の月は目を上げ、彼を見た。その蒼い瞳に、夢の中と同じ哀しみが浮かんでいるの
を見て、彼の胸は貫かれるように痛んだ。
「……そのことはあとで話そう」
 低い声でそれだけ言って、月の髪をした青年は立ち上がった。
「今はまだ眠れ。傷が酷い。考えるのは、身体が治ってからでも遅くはない。ゆっくり
養生しろ」
 違う。待ってくれ。
 そう声にしようとしたが、その前に、全身が砕けるような痛みが走った。白い闇から
あわてたように影が一つ走ってきて、肩を押さえてベッドに押し戻そうとする。
(だめですようごかないであなたはなんどもしにかけたんですよだれかちんせいざいを)
 うるさい。うるさい。
 俺はあいつを知ってる。俺はあいつを知ってるんだ。
 言わなければ。ちゃんと言わなければ。忘れたりなんかしていない、と。約束した、
俺はおまえを、おまえを、おまえ、を――
 腕に注射針が突きささり、流し込まれる薬液が視界に霞をかけていく。伸ばそうとした
手は無理やり下ろされ、点滴の管が突き立てられる。
 銀の月は哀しい目をして立ちつくし、闇のむこうから自分を見ている。
(……ア、ル、)
 引きずり込まれるように意識が暗闇に包まれる。
 最後まで見えていたのは、仄かに輝く銀色の月と、哀しみをたたえた二つの瞳――。

23 名無しさん@うまい肉いっぱい :2008/04/05(土) 17:01:10
パパアノレ?
悪伝直前くらいの話になります。
本番はありませんが、吸血=性行為の解釈で書いているので微エロです。
父子なんてフケツっ!っていう方はスルー推奨。
あと、私の書くアノレたんはピュアっ子ではないのでその辺も要注意。

しかし書いてる間、説得シーンでは月下パパなのに
吸血シーンがなぜかマティパパで浮かんで絵面的にものすごくいかがわしかったんだぜ……

24 Rhapsody in Blood 〜朔〜 1/6 :2008/04/05(土) 17:02:08
 朱く焼けていた西の空が少しずつ薄闇に染まっていくのを、アドリアンは自室の窓から
眺めていた。
 もうすぐ、父が目を覚ます。
 薄紫から群青に移りゆく空の色。そこに星の瞬きが見つかる頃合いに、自室を出て玉座
の間に向かう。
 ここ数日、アドリアンは父親に会えずにいた。
 人間を襲撃するのを諫め、母の遺言を守ってくれるよう説得し続けていたのを疎まれた
のだろう。
 今日も無駄足かもしれない。
 それでも、父の元に訪ねていく以外、今アドリアンに出来ることはないのだった。
 玉座の間とは言っても、取り次ぎはない。城内に数少ない人間は父に呼ばれない限りこ
こに来ることはなく、元来外からの来客などアドリアンの知る限り無かった。
 両開きの重い扉を開けて、中を見渡す。
 真紅の絨毯の延びる先、数段高くしつらえられた玉座に、今夜も父の姿はない。
 そのことに、落胆と共に安堵を覚える。
 あの日以来、父と対峙するのはアドリアンにとって辛いことだった。
 母の遺志は守りたい。しかし、父の気持ちもまた、痛いほどにわかるのだ。母を亡くし
た哀しみと、手にかけた人間に対する憎悪。
 憎んではいけない、と母が最期の瞬間まで訴えたのだから、憎むまいと思う。思いはす
るが、そう簡単に割り切れないのも事実だった。
 ともすれば父の狂気に流されてしまいそうな自分を自覚していればこそ、アドリアンは
母の遺言を口にし続けた。父にというよりむしろ、自分自身に向かって。
 空の玉座をしばし見つめ、踵を返す。
 父に会えない日は母のために祈りを捧げて過ごすことにしていた。母を亡くして以来神
に祈ったことはなかったが、死者の安寧を願う行為を祈りの他に何というのか、アドリア
ンは知らない。
 生前、母が丹精した花園の一角に墓碑がある。その墓前に向かおうと扉に手をかけた時
だった。

25 Rhapsody in Blood 〜朔〜 2/6 :2008/04/05(土) 17:02:48
『また世迷い言を云いに来たか』

 肉声ではなく、部屋全体の空気を揺るがすような声にアドリアンが振り返ると、無数の
蝙蝠が玉座に集まり、その暗がりから父、ドラキュラ伯爵が現れた。
 闇の眷属であることを見せつけるようなその出現は、おそらく自分に同じ血が流れてい
ることを思い起こさせるためにわざと行ったのだろうと、アドリアンは思う。
 母を亡くして以来、父は吸血鬼としての本性を隠そうとしなくなった。自分の前では特
にそうだ。今も、母と共に在った頃には想像も付かなかった父の姿がそこにある。人と同
じ姿形を持ちながら、人ではないものなのだと悟らざるを得ない、冷たく凄惨な魔王の容
貌。こちらを見据える紅い瞳に、かつての情など欠片も見いだせはしない。
 それを寂しいと思ったこともあった。しかし今は、恐ろしいと思う。父がではなく、こ
こまで父を変えた絶望というものが。もしそれに侵されたならば、自分もまた父と同じ道
を辿るのだろう。だからこそ、母の言葉を決して忘れてはならない。
「何度でも申し上げます。無意味な虐殺などお止めください、母上は復讐など望んではい
ませんでした」
「幾度繰り返そうが無駄なこと。リサが何を望んでいたとしても、今となっては何の意味
もない」
 父の言う通り何度も同じ問答を繰り返すだけでしかなくとも、それを無駄とは思いたく
なかった。たとえ父に届かなかったとしても、語りかけることを諦めてしまったら父との
絆をも無くしてしまう。
「母上の望みを叶えることが、なぜ無意味なのです。何でも叶えてやりたいと仰っていた
ではありませんか」
 まるで揺るがないように思えたその瞳に、一瞬影が差したように見えた。
 そしてわずかの沈黙の後、唇を嘲けるように歪める。喉の奥で押し殺したような笑いが
響いた。
「そうだ、何でも叶えてやろうと思った。──その結果がこれだ!」
 玉座の肘掛けを叩きつけ、その勢いのまま立ち上がった。
「昼に出歩くのも、疫病に苦しむ人間に薬草を与えるのも、好きにさせた」
 ゆっくりと段差を降りこちらに向かって来る。全身から立ち上る激しい怒りと憎悪に気
圧されて、アドリアンは思わず後ずさった。しかしもともと扉の前まで来ていたのだ、す
ぐに背が扉に触れてしまう。
「それが仇になったのだ」
 徐々に距離が詰まる。背後の扉を開けて逃げたい衝動を必死に押さえ、目を逸らさぬよ
う自らを叱咤する。父を説得するために来たのではなかったか。たとえ何があろうとも、
逃げることはできない。自分から背を向けるようなことだけは、断じて。

26 Rhapsody in Blood 〜朔〜 3/6 :2008/04/05(土) 17:03:28
「そもそも人間のままにしていたのが間違いだったと、今にして思う」
 血の気のない白い手が伸びて頬に触れられた瞬間、身が竦む。その冷たさにだけではな
く、身に纏う殺気にも似た憎悪とはあまりにかけ離れた優しさに恐怖を覚えて。まるで壊
れ物に触れるかのように、冷え切った手がそっと頬を撫でていく。
「闇の眷属にしておれば、私の目の届かぬところで死なせることはなかった」
 もう片方の手が、肩に置かれた。頬に触れていた手は首筋を辿り、襟元の飾り結びをほ
どいて開く。
 アドリアンは誰に教わるわけでもなく本能として、獲物の抵抗を封じる魔力が身の内に
備わっていることを知っていた。それが父から受け継いだものであることは疑いようもな
い。今、間近に父の目を見ながら、自分は既にその魔力に捕らわれているのかもしれない
と思った。先刻、逃げてはいけないと思ったことさえ、あるいは自分の意志ではなかった
のかもしれない。
 父が何をしようとしているのか、ここまでされれば嫌でもわかる。
 怖くないわけではない。それがどれほど背徳に満ちた行為かも知っていて、それでもな
お振り払って逃れようとは思えないのだ。
「お前はあまりにリサに似過ぎている。人に甘いところなどは特に」
 首周りにまとわりつく髪を父の手が背に流した。首筋を曝されただけなのに、まるで裸
にされたかのように心許ない。
「人間の血がそうさせるのか……ならばその血を、全て抜いてやろう」
 首筋を辿りつつ後ろに回された手が襟足を撫でるように軽く掴み、髪を引かれる。顎が
上がり、自然と首を曝す姿勢を強いられた。
 無防備に曝されたそこに父の唇が寄せられていくのを、ただ見ていることしかできない。
あまりの不安と恐怖で、震える吐息が無様に漏れるのを押さえることもできなかった。
 それに気づいたのだろう父が、わずかに視線を上げる。
「案ずるな。何も恐れることはない。私に任せて、お前はただ全てを受け入れていればよ
い」
 再び下に向かう父を、もう見ているのも辛くて目を閉じる。
 冷たい唇を首筋に押し当てられて震えた身体を、力強い腕に抱き竦められた。
「お前に、闇に生きる者の愛し方を、教えてやろう」
 耳元で囁かれた声は、夢見るほどに甘やかで優しく、一瞬、不安も恐怖も忘れさせる。
 張りつめていた力を抜いて身を任せたその時を逃さず、父の牙は容赦なく突き立てられ
た。

27 Rhapsody in Blood 〜朔〜 4/6 :2008/04/05(土) 17:04:17

 痛みを感じたのは、皮膚を食い破られる一瞬に過ぎなかった。
 穿たれた箇所は痛む代わりに熱を持ち、そこから甘く痺れるような感覚が広がる。
 吸い上げられる度に、まるで血と共に登るかのように身体の中をその痺れが走り抜け、
肌にまつわりつき血を舐め取る舌のざらつく感触に粟立つような感覚を覚えた。
 脈打つ首筋から血の流れに乗ってその熱が運ばれ、体中に甘い痺れが回るような錯覚に
陥る。
 知らぬ間に息が上がり、もう自分の力で立っていることもできず、父の腕に支えられて
いるような有様だった。袖にかろうじて縋りついてはいるものの、まるで力が入らない。
 押さえることもできずに漏れる喘ぎが、静まりかえった部屋にやけに響く。いたたまれ
ない羞恥を覚えて身を捩れば、それを押さえつけるようにさらに深くまで抉るように牙が
食い込んだ。
「っ…あ……ぁ…………」
 一瞬、視界が白く灼けるほどの強烈な感覚に襲われて目を見開く。
 断続的に痙攣のように震えた身体は、それを宥めるように撫でる掌の感触にも敏感に反
応し、まるで収まる気配がない。
 何か、これに近い感覚を知っているような気がして、ふと思い当たった。
 射精の快感と、とても似ている。
 アドリアンは半分人間ではないためかあまり性的な欲求は強くはなかったが、普通の人
間と同じように精通も経験したし、幾度かは自慰もしてみたことはある。
 達したときの快感と先ほどの感覚は確かに同じ種類のものだ。
 これまで、吸血は性行為と等しいと知識では知っていたが実感はなかった。
 それを今、身をもって知った。
 そして理屈ではなく感覚で理解した途端、行われている行為のおぞましさに愕然とした。
 自分は今、父親に犯されているも同然なのだ。
 父の欲望をこの身に突き立てられ、貪られて。
「嫌……だ…………っ」
 力の入らない腕で押しのけようと突っ張ってみても、びくともしない。

28 Rhapsody in Blood 〜朔〜 5/6 :2008/04/05(土) 17:04:52
 その変化に気づいたのだろう、父は一端牙を抜き、名残惜しげに傷口から溢れる血を舐
め取ると、その感覚にすら耐えられず身を震わせる自分を見下ろして、血に染まった紅い
唇にうっすらと笑みを掃いた。
「余計なことは考えぬがよい。ただ快楽にのみ身を任せて、素直に受け入れているがいい」
 傷口を、舌でこじ開けるようにねぶられて身体が跳ねた。痛みではなく、もどかしいよ
うな疼きが思考までをも犯す。
 そこを埋めて欲しい。力尽くで押さえつけて、無理矢理ねじ込んで、この身を隈無く支
配して欲しい。
 そう思うのと同時に、自分の欲するものに嫌悪を覚える。気が狂いそうだった。
 内心の葛藤を知ってか、わずかに笑ったような気配の後、牙の先が首筋に宛われる。そ
れに穿たれる期待に歓喜する身体と、再び背徳に墜ちることに抗おうとする心とがせめぎ
合う中、一度閉じた肉を引き裂くように押し広げて凶器が埋め込まれた。
 初めに受け入れたときとは比べものにならない快楽がそこから湧き立つ。その行為が何
を意味するのかを知った心理的な要素もあるだろうが、何より身体が昂ったままだったの
が最大の要因だろう。ただ牙を突き立てられた、それだけで、アドリアンは再び達した。
 自慰ではすぐに冷めた感覚が、一向に引かなかった。達したとはいっても、実際のとこ
ろ下肢に濡れた感触もなければ、そもそも勃ってすらいない。物理的に出せば満足する類
のものと違って、その快楽は果てることがなかった。
 荒く息を吐き、懸命に余韻を逃がそうとするのを翻弄するかのように貪られて、また混
乱の内に快楽の波に突き落とされる。
 そんなことを繰り返される内に、いつの間にか意識を手放していた。


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