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【パラレル】ときめき★ドラキュラ学園【専門】

92Vania in 世界樹5/6:2007/07/07(土) 22:24:45
「あ、あ、あ、アノレカー、ド……???」
「ああ、ラノレフ。それにリヒ夕ー、父上、母上」
 動物たちに向けていた笑顔をそのままに、アノレカードはほんわりと笑った。
「見てください、みんな、とても親切ですよ、果物も、ほらこんなにたくさん。父上、母上、皆も
いっしょに食べませんか。私一人では、とても食べきれないから」
「こ、攻撃されてないのか? f.o.eは……」
「ああ」
 そういえば、と気づいたように隣の大鹿を見あげて、
「彼も、好きでこういうことをしているのではないのだ、と説明してくれた。本当は私のような人間
とは仲良くしたいのだが、このあたりの森の動物を守る立場上、森を荒らしに来る人間にはああ
やって脅しをかけるしかないそうで。自分も辛い立場なんだ、と」
「……それでパーティ全滅の目に合わされるほうの気持ちはどうなるんだよ……」
(※リアル初遭遇の時、何も知らずにレベルも装備もスキルも足りずに突っこんでいって、パーティ
瞬殺→二時間分の経験値とアイテムをパアにされた恨みは忘れませんよ?)
「なんでも、私を見たとたん、これはほかの人間のように動物たちをいじめたりしない者だ、と
思ってくれたようで」
 言いながら、嬉しそうにアノレカードは頬を上気させている。
「それで、よければずっとここにいて、一緒に暮らしてほしい、と。生活に不自由はさせない、
なんといっても自分はこのあたり一帯の主で、誰にも口はださせ──父上? どうなさいました、
父上?」

「ふ…………」
 なんだかどうやらまたもや新しい入り婿希望者(というかむしろ拉致婚、しかもどうぶつ)が
現れたことで、お義父さんお義父さんうるさい二人組に限界まですり減らされていたお父上の中の
何かが、今ぷっつんとブチ切れたようだった。
「ふ、ざける、なぁッ! このッ、ケダモノ風情があッ! ぅ殺気ぃぃ解ぅ放ぉぉぉ! ぬぅぉぉ
おおおおおおぅぁ!!!!」
「お、お義父さん!? それパラディンじゃありませんカースメーカーのスキルですお義父さん! 
それにB11Fまで行かないとそもそもカースメーカーにすらなれませんお義父さん! お義父さん
──!!!」
「ああっしかも声までなんだか変わってるしお義父さん──!!!」
「お・義・父・さ・ん言うな──────!!!!!」
 お父上、大絶叫。
 溜まりに溜まったストレス一気に放出の勢いで、あたりの木々がびりびりと揺れる。
「ふんぬぅぅおおおおおおああ! わぁぁれぇぇをぉ、おぉそぉれぇよぉぉぉぉぉ!! ぶるぅぅぅ
あああああああああああ!!」
 集まっていた動物たちがいっせいにびょくん、と跳ね上がる。
 ちなみに『我を畏れよ』はカースメーカーの呪言スキルで、かけられた相手は高確率でテラー状態
に、つまりは震えあがって何もできなくなる。
 まちがってもパラディンが、しかも今のレベルと時点で使えるはずはないのだが、まあそこは魔王
というか、父の愛の力というか。
 だがしかし、敵もさるもの。
 f.o.e『狂える大鹿』は一瞬ひるんだようすは見せたものの、森を荒らすだけでなく、アノレ
カードを自分から奪いに来た大敵として父上を認めたようである。
 多少ふらつきながらも立ち上がり、動物たちとアノレカードを後ろにかばってはったと父上を睨みつける。
 黒くおだやかだった目は再び爛々と燃えあがり、今にも一触即発、のその時。

「やめてください、父上!」
 悲痛な声をあげて飛びだしてきたのはアノレカード、その人。
 今にも黒いオーラ飛ばして襲いかかりかけていた父上の手が止まる。
「見てください、みんなこんなに怯えているではありませんか? 私の父上は、弱い者をいじめた
り、理不尽に傷つけたりはなさらない方だと、いつも母上がおっしゃっています! 父上は、この
ように力弱い者たちをもひどい目にあわせるおつもりなのですか!? 父上は、そのような方では
ないでしょう!?」
 腕の中でかたかた震えているちっちゃい子ウサギを抱きしめて叫ぶアノレカード。
 蒼い瞳が、今にも泣きだしそうに震えている。
「む……ぐ……」
 とりあえず、愛する息子に言われると弱い父上であった。
 まあ一応、まだマティアスだし。
 母上いっしょだし。


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